『シルバーバーチの霊訓』2巻【5章 映画女優と語る】

『シルバーバーチの霊訓②』
【シルバーバーチの交霊会を訪れる著名人の顔ぶれは実に多彩であるが、本章で紹介するのはその中でも特異な人物の部類に入るであろう。招待されたのは無声映画時代に“世界の恋人”と呼ばれて人気を博した米国の女優メアリ・ピックフォードで、―】
『シルバーバーチの霊訓②』
【司会のハンネン・スワッハー氏もそれを記事に書いて心霊紙に発表した。それをそのまま転載する―】【映画でも演劇でも芸術作品でも、それが真実を表現し大勢の人々の心に触れるものをもっておれば、霊界から見れば実に大きな存在価値をもつものである事は、―】
『シルバーバーチの霊訓②』
【これまでシルバーバーチが各界で活躍している人々を招待した時に度々強調している事であるが、この度も又その事を改めて確認する事になった。以下は先日の交霊会の速記録からの興味深い箇所の抜粋である。―】
『シルバーバーチの霊訓②』
さて海を渡って(米国から)お出で下さったお客さんに申上げましょう。今日ここに出席しておられる方々があなたの大ファンである事、またいわゆる死の彼方にいる人たちからも守られている事を、あなたはずっと感じ取ってこられた事はご存知と思いますが、いかがですか。
『シルバーバーチの霊訓②』
【よく存じております】その愛、その導きがあなたの人生において厳然たる事実であった事をあなたは何度も何度も体験しておられます。窮地に陥り、どちらへ向うべきかが判らずに迷っていた時、はっきりとした形で霊の導きがあり、あなたは迷う事なくそれに従われました。―
『シルバーバーチの霊訓②』
―お判りでしょうか。【おっしゃる通りです】ですが、実際には情愛によって結ばれた大勢の人々の愛を、これまで意識された以上にもっともっと受けておられるのです。もしその全てが認識できたら、あなたのこれまでの生涯が勿体ないほどの導きを受けている事が判るでしょう。
『シルバーバーチの霊訓②』
もしこの地上生活であなたに託された使命の“全てを一度に”見せられていたら、とても成就できないと思われた事でしょう。それほどのものが右足を一歩、左足を一歩と着実に歩んで来られたからこそ今日まで維持できたのです。
『シルバーバーチの霊訓②』
ある程度はご存知でもまだ全てはご存知ないと思いますが、私たちの世界―あなた方の世界から移住してくる霊の住む世界から見ると、真実の宗教は人のために役立つ事、これしかない事が判ります。無私の善行は霊の通貨なのです。
『シルバーバーチの霊訓②』
すなわち人のために精一杯の努力をする人は、その誠意によって引きつけられる別の人によってそのお返しを受けるのです。これまでの人生であなたは大勢の人々の生活に幸せと理解力と知識とをもたらしましたが、その分だけあなたは地上の人だけでなく、―
『シルバーバーチの霊訓②』
―遥か昔に地上を去り、その後の生活で身につけた叡智をあなたを通じて地上にもたらさんと願う光り輝く霊も引寄せております。私の言っている事がお判りでしょうか。【はい、よく判ります】こちらの世界ではあなたの存在を大使(アンバサダー)の一人と考えております。
『シルバーバーチの霊訓②』
つまり一個の仲介者、大勢の人間との間をとりもつ手段という訳です。目に見えない世界の実在という素朴な福音をあなたは熱心に説いてこられました。これまで物的障害が再三にわたって取除かれ首尾よく前進できたのも、あなたのそうした心掛けがあったからです。
『シルバーバーチの霊訓②』
そこで私から良い事をお教えしましょう。あなたは遠からず、これまでのそうしたご苦労に有終の美を飾られる―栄誉を給わり人生の絶頂期を迎えられるという事です。あなたの望まれた事が、これからいよいよその結実を見る事になります。
『シルバーバーチの霊訓②』
【ここで私(スワッハー)が出席する会には必ず出現するノースクリッフ卿(※)がシルバーバーチと入れ替ってピックフォードに挨拶を述べた。私は直接は知らないがピックフォードが夫君のフェアバンクスと連れ立って初めてロンドンを訪れた時、―】
『シルバーバーチの霊訓②』
【―ファンの群でどこへ行ってももみくちゃにされるのでノースクリッフが密かに二人を私邸に泊めたという経緯があるのである。―】
『シルバーバーチの霊訓②』
―(※英国の有名な新聞経営者でデイリーメール紙の創刊者。死後スワッハーがよく出席したデニス・ブラッドレーの交霊会に出現し、スワッハーがその記録を『ノースクリッフの帰還』と題して出版、大反響を呼んだ―訳者)
『シルバーバーチの霊訓②』
【その後かつての夫君フェアバンクスが出現して二人の結婚生活の不幸な結末を残念に思っている事を述べた。が、その件についてはそれ以上深入りしないで置こう。とにかくそれを聞いてピックフォードがシルバーバーチにこう述べた。―】
『シルバーバーチの霊訓②』
【私はかつて地上の人間にも他界した方にも恨みを抱いた事は一度もありません。恨みに思ったのは過ちを犯した時の自分に対してだけです】ご自分の事をそうダメな人間のようにお考えになってはいけません。
『シルバーバーチの霊訓②』
今もしあなたの人生の“元帳”を整理する事ができたら、いわゆる“過ち”と言えるほどのものは、無私の行いや善行に比べて至って少ない事がお判りになるはずです。多くの人々にどれほど良い事をしてこられたかは、こちらへお出でになるまではお判りにならないでしょう。
『シルバーバーチの霊訓②』
あなたは数え切れないほどの人々に愉しみを与えて来られました。しばしの間でも悲しみを忘れさせ、心の悩みや痛みを忘れさせ、トラブルやストレスを忘れさせ、人生の嵐を忘れさせてあげました。
『シルバーバーチの霊訓②』
あなた自身の願望から、あなたなりの方法で人のために役立ってこられました。人のために役立つ事が一番大事なのです。他の全てのものが忘れ去られ、あるいは剥ぎ取られ、財産が失われ権力が朽ち、地位も生まれも効力を失い、宗教的教義が灰燼に帰したあとも、―
『シルバーバーチの霊訓②』
―無私の人生によって培われた性格だけはいつまでも残り続けます。私の目に映るのは身体を通して光り輝くその性格です。私は幾ばくかの善行を重ねた魂にお会いできる事を大きな喜びとしております。以上があなたが自ら“過ち”とおっしゃったのを聞いて私が思った事です。
『シルバーバーチの霊訓②』
あなたは何一つ恐れるには及びません。真一文字に進まれればよろしい。あなたも率直なところをお聞きになりたいでしょう?【ええ】あなたは大金を稼ぐのは趣味ではなさそうですね。あなたの願望は出来る限りの善行を施す事のようです。違いますか【おっしゃる通りです】
『シルバーバーチの霊訓②』
その奇特な心掛けがそれなりの報酬をもたらすのです。自動的にです。その目的はとどのつまりはあなたに確信を与えるという事にあります。何一つ恐れるものはないという事です。心に恐怖心を宿してはいけません。恐怖心はバイブレーションを乱します。
『シルバーバーチの霊訓②』
バイブレーションの事はご存知でしょう?【ええ少しは存じております】恐怖心は霊気を乱します。あなたの心が限りない、そして弛む事のない確信に満ちていれば、霊的真理を手にしたが故の不屈の決意に燃えていれば、―
『シルバーバーチの霊訓②』
―この無上の地上において、その心だけは決して失意を味わう事はありません。物質界に起きるいかなる出来事も真のあなた、不滅で無限で永遠のあなたに致命的な影響を及ぼす事は出来ません。
『シルバーバーチの霊訓②』
あなたは背後にあってあなたを導き支えている力が“宇宙最大の力”である事、あなたを神の計画の推進のための道具として使用し、その愛と叡智と真理と知識を何も知らずにいる人々に教えてあげようとしている“愛の力”であるとの万全の知識を携えて前進する事が出来ます。
『シルバーバーチの霊訓②』
あなたはこれまでに幾度か自分が間違った事をしたと思って密かに涙を流された事があります。しかしあなたは間違ってはおりません。あなたの前途には栄光への道が真直ぐに伸びております。目的はきっと成就されます。私の申上げた事がお役に立てば幸です。
『シルバーバーチの霊訓②』
【本当に有難うございました】いえ私への礼は無用です。礼は神に捧げるべきものです。私どもはその僕に過ぎないのですから。私はこの仕事の完遂に努力しておりますが、いつも喜びと快さを抱きながら携わっております。
『シルバーバーチの霊訓②』
もし私の申上げた事が少しでもお役に立ったとすれば、それは私が神の御心に副った仕事をしているからに他なりません。あなたとはまたいつかお会いするかも知れませんが、その時はもっとお役に立てる事でしょう。
『シルバーバーチの霊訓②』
その時までどうか上を向いて歩んでください。下を向いてはいけません。無限の宝庫のある無限の源泉から光と愛がふんだんに流れ込んでいる事を忘れてはいけません。その豊かな宝庫から存分に吸収なさる事です。求めさえすれば与えられるのです。著述の方もお続けください。
『シルバーバーチの霊訓②』
【最後にサークル全員に向って次のような祈りのメッセージを述べた―】どうか皆さんを鼓舞するものとして霊の力が常に皆さんと共にあり、先天的に賦与されている霊的能力をますます意識され、それに磨きをかける事によって幸せの乏しい人々のために役立て、―
『シルバーバーチの霊訓②』
―そうする事によって皆さんの人生が真に生き甲斐あるものとなる事を切に祈ります。【そう述べて、いよいよ霊媒(バーバネル)の身体から離れる直前にピックフォードにこう述べた―】
『シルバーバーチの霊訓②』
ご母堂が、あなたに対する愛情が不滅である事をあなたが得心してくれるまで私を行かせないと言っておられます。ご母堂はあなたから受けた恩は決して忘れていらっしゃいません。今その恩返しのつもりであなたのために働いておられます。どうしても行かせてくれないのですが…
『シルバーバーチの霊訓②』
【でも私こそ母に感謝しております。十回生れ変ってもお返しできないほどです】あなたは既に十回以上生れ変っておられますよ。【猫より多いのでしょうか。十八回でも生れ変るのでしょうね。今度こそこの英国に生まれる事でしょうよ―】
『シルバーバーチの霊訓②』
いえいえ、あなたは既に英国での前生がおありです。が、これは別の話ですね。【あと一つだけ…私のその英国での前生について何か一言だけでも…】二世紀以上も前にさかのぼります。それ以上の事はまたの機会にしなくてはなりません。
『シルバーバーチの霊訓②』
私はもう行かねばなりません。これ以上霊媒を維持できません。【どうやらピックフォードはその二世紀あまり前に少女として英国で生活した前生の事をずっと前から信じていたらしいふしがある。その理由については私の記憶にない―】
『シルバーバーチの霊訓②』
【―とにかく、グラディス・スミスという名でトロントに生を受けた彼女は、血統が英国人である事を誇りに思っている事は確かである。 ハンネン・スワッハー】

未分類