これは、かわいい子ウマのお話です。ウマたちがこの地上に住むようになってまもない、そして、体が今よりずっと小さかったころのお話です。昔むかし、あるところに、ウマの親子が住んでおりました。
『スピリチュアルストーリーズ』どうしたわけか、子ウマは生まれたときから、とてもおくびょうで、自分より大きい動物はもちろんのこと、雨が降っても、風が吹いても、すぐにビクビクとこわがるのでした。あるときなどは背の高い木を見て、この木は倒れないだろうか、→
『スピリチュアルストーリーズ』→もし倒れて頭の上にゴツンと落ちてきたらどうしよう、と考えはじめてしまい、そうするともう心配で心配でならなくなり、とうとう泣きながらおかあさんにそのことを話したというくらい、おくびょうなのです。
『スピリチュアルストーリーズ』そんなときおかあさんは、こんなふうに、やさしく言って聞かせるのでした。「まあまあ、おくびょうだこと。だいじょうぶですよ。木は、土のずっと深いところまで足を伸ばしているのよ。ですから、けっして倒れたりなんかしないの」
『スピリチュアルストーリーズ』すると子ウマは、こんどは食べものの心配をしはじめました。草を食べながら、おかあさんに、こう聞くのです。「こんなに毎日食べていたら、そのうち、草がなくなってしまわないかなあ…。もしなくなってしまったら、ぼくたちはどうするの?」
『スピリチュアルストーリーズ』するとおかあさんは、笑いながらこう言いました。「だいじょうぶですよ。神さまがちゃんと食べるものをつくってくださいますから」さて、ある日のことです。その親子が、そろって遠くへ散歩に出かけました。
『スピリチュアルストーリーズ』子ウマはうれしくて大はしゃぎで、おかあさんの先になったり後になったりしながら進みました。あまり走りまわるので、ときどき、おかあさんから遠く離れることがありました。そんなときです。子ウマは、ちょろちょろと音をたてて流れている→
『スピリチュアルストーリーズ』→小川を見つけました。子ウマはそのときまで小川というものを見たことがなかったので、とてもびっくりしました。そして、いちもくさんに逃げだしました。ところがそのときにはもう、おかあさんはその方角には、いなかったのです…。
『スピリチュアルストーリーズ』さあ、たいへんです。おくびょうな子ウマは、だんだんこわくなってきました。あせればあせるほど、どんどんこわくなっていくのです。子ウマは泣きべそをかきながら、あちらこちらを走りまわりました。すると、思ったよりも近い場所で、→
『スピリチュアルストーリーズ』→やっとおかあさんを見つけることができました。おかあさんのそばに来た子ウマは、それまでいちども感じたことのないうれしさを感じました。そうして、そのときはじめて「今までぼくは、なんてつまらないことをこわがっていたんだろう。」
『スピリチュアルストーリーズ』「おかあさんがいなくなることほど、こわくて、さみしいことはないのに…」と思ったのでした。そして、それっきり子ウマは、何もこわがらなくなったということです。