『ベールの彼方の生活』4巻7章 天界の大軍、地球へ【1 キリストの軍勢】
『ベールの彼方の生活④』【7章 天界の大軍、地球へ】【1 キリストの軍勢】【1919年3月6日 木曜日】天界の大草原のはるか上空へ向けてキリストの軍勢が勢揃いしておりました。上方へ向けて位階と霊格の順に1段また1段と階段状に台地(テラス)が連なり、私も仲間の隊員とともに、→
『ベールの彼方の生活④』→その上方でもなく下方でもなく、ほぼ中間に位置するあたりの台地に立っておりました。雲なす軍勢の1人1人がそれぞれの任務を帯びていたのです。この度の戦いに赴くための準備が進行するうちに吾々に様々な変化が生じておりました。その1つは地球圏の上層界と→
『ベールの彼方の生活④』→前回の話に出た他の複数の惑星の経綸者の双方から霊力の援助を受けて吾々の磁気力が一段と増し、それにつれて視力も通常の限界を超えて広がり、それまで見る事を得なかった界層まで見通せるようになった事です。その目的はエネルギーの調整―吾々より上の界と下の界の→
『ベールの彼方の生活④』→動きが等しく見えるようになる事で言いかえれば視力の焦点を自在に切り換える事ができるようになったという事です。これで一層大きな貢献をするためにより完璧な協調体制で臨む事になります。下の者は上の者の光輝と威力を見届ける事ができて勇気を鼓舞される→
『ベールの彼方の生活④』→事にもなり、さらに、戦いにおいて指揮と命令を受けやすくもなります。私はその視力でもって上方の光景と下方の光景、そしてあたり一面を見渡して、そこに見た驚異に畏敬の念を抱かずにはいられませんでした。それまで数々の美と驚異を見ておりましたが、→
『ベールの彼方の生活④』→その時に見た光景ほど驚異に満ちたものはありませんでした。地球の方角へ目をやると、様々な色彩が幾つもの層を成して連なっています。それは私の界と地上界との間の10の界層を象徴する色彩で、これより下降すべく整列している軍勢の装束から放たれているのでした。
『ベールの彼方の生活④』その下方、ちょうどその軍勢の背景となる位置に、霧状のものが地球を取り巻いているのが見えました。そのどんよりとして部厚く、あたかも濃いゼリー状の物質を思わせるものがところどころで渦を巻いている中を、赤色と暗緑色の筋や舌状のものがまとわりついているさまは、→
『ベールの彼方の生活④』→邪悪の化身である蛇が身の毛もよだつ地獄の悪行に奔走しているさまを彷彿とさせ、見るからに無気味なものでした。その光景に吾々は別にしりごみはしませんでした。恐怖心はいささかも抱きませんでした。それどころか、愛と僚友意識の中で互いに手を取り合い、→
『ベールの彼方の生活④』→しばし静粛な思いに浸りました。これからの吾々の旅はあの無気味な固まりと立ち向かい、しかもそれを通過しなければならないのです。目指す地球はその中にあるのです。何としてでも突き抜けて地球まで至らねばなりません。陰鬱極まる地球は今こそ吾々の援助を→
『ベールの彼方の生活④』→必要としているのです。その無気味な光景を見つめている私の脳裏に次のような考えが浮かびました―“人間はよくもあの恐ろしい濃霧の中にあって呼吸し生きていられるものだ”と。吾々自身について言えば、吾々の仕事は、既に述べた通り、質の転換作用によって→
『ベールの彼方の生活④』→少しでも多く吾々の組織体の中にそれを摂り入れていく事でした。どうしても消化不可能なものはさらに地獄の奥へと追いやり、言うなれば自然崩壊を待つほかはありません。大変な“食事”だと思われるでしょう。しかも大して“美味”ではありません。それは確かですが、→
『ベールの彼方の生活④』→それほどの軍勢で、しかもキリストをリーダーとして、吾々はきっと成就できるとの確信がありました。続いて吾々は向きを変えて、今度は上方へ目をやりました。すると幾重にも連なる台地に光り輝く存在が、ある者は立ち並び、ある者は悠然と動き回っているのが見えました。
『ベールの彼方の生活④』その台地の1つ1つが天界の1界であり、それがパノラマ式に巨大な階段状に連なって延々と目も眩まんばかりに上方へと伸び、ついに吾々の視力では突き通せない光輝の中へと突入し、その頂上が視界から消えました。その光輝を突き抜けて見届けうるのは吾々よりはるか上方の、→
『ベールの彼方の生活④』→光輝あふれる界層の存在のみでした。吾々にとってはただの“光の空間”であり、それ以外の何ものにも見えませんでした。それでも、可能な限りの無数の輝く存在を目にする事だけでも吾々に大いなる力を与えてくれました。
『ベールの彼方の生活④』最も近くの界層の存在でさえ何と素晴らしかった事でしょう。吾々より下層の者は見た事もない色調をした光輝を放つ素材でできた長衣(ローブ)に身を包んでおられました。さらに上層界の存在はゴースのごときオーラに包まれ、身体はその形も実体も麗しさにあふれ、→
『ベールの彼方の生活④』→その1体1体が荘厳な1篇の詩であり、あるいは愛と憧憬の優しい歌であり、優雅にして均整の取れた神であり、同格の神々とともに整然たる容姿を完全に披露して下さっておりました。その位置を貴殿なら多分“はるか彼方”と表現するところでしょう。
『ベールの彼方の生活④』確かにはるか彼方ではありました。が吾々の目にはその形体と衣装が―その形体を包む光輝を衣装と呼ぶならば―全体と同時に細部まで見る事ができました。しかし、それとてまだ中間の界層の話です。そのまた先には吾々の視力の及ばない存在が無数に実在していたのです。
『ベールの彼方の生活④』その事は知っておりました。が、知ってはいても見る事はできません。吾々の霊格にとってはあまりにも崇高すぎたのです。そしてその頂上には吾らがキリストが君臨している事も分かっておりました。その光景を見つめながら吾々仲間はこう語り合ったものです― →
『ベールの彼方の生活④』→“目の当たりにできる光景にしてこの美しさであれば、吾らがキリストの本来の栄光はいかばかりであろうか”と。しかし吾々の感嘆もそこまでで、それから先へ進む事はできず、一応そこで打ち切りました。と言うのも、間もなくそのキリスト自ら吾々の指揮のために→
『ベールの彼方の生活④』→降りて来られる事が判っていたからです。その折には地球へ向けて下降しつつ、各界の住民の能力に応じた波長の身体をまとわれるので、吾々の視力にも映じる可視性を身につけておられる事も知っておりました。天界の大軍の最高位にあらせられるキリスト自らその大軍の中を→
『ベールの彼方の生活④』→通り抜けて、一気に地球の大気圏の中に身を置かれるという事だったのです。然り、然り。キリストほどのリーダーはいません。天使ならびに人類を導く者としてキリストに匹敵する霊は、神格を具えた無数の存在の中にさえ見出す事はできません。私は厳粛なる気持で→
『ベールの彼方の生活④』→そう断言します。と申しますのも、天界の経綸に当たる神々といえども、その力量は一列平等ではなく、地上の人間と同じくその一柱一柱が独自の個性を表現しているのです。平凡な天使の部類に属する吾々もそうであり、さらに神聖さを加えた階級の天使もそうであり、→
『ベールの彼方の生活④』→さらにその上の階級の天使もそうであり、かくして最高級の大天使ともなれば父なる神の最高の美質を表現しておりますが、それにも各々の個性があるのです。そうした多種多様な神々の中にあっても、指導者としての資質においてキリストに匹敵する者はいないと申上げるのです。
『ベールの彼方の生活④』私が先ほど語り合ったと述べた仲間たちも同じ事を申しておりました。その事については改めて述べるつもりでおります。その時は以上の私の断言が正しいか否かがはっきりする事でしょう。 アーネル†
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