『母と子の心霊教室』全文掲載 第5章 ホームサークル(家庭交霊会(かていこうれいかい))ではどんなことが行われるのだろう
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『母と子の心霊教室』【第5章 ホームサークル(家庭交霊会(かていこうれいかい))ではどんなことが行われるのだろう】第3章で私は、おおぜいの人を集めて行う公開交霊会(こうれいかい)について説明しました。
『母と子の心霊教室』こんどは、一般の家庭で少数の知人・友人が集まって行う小さな交霊会(こうれいかい)、すなわち家庭交霊会(かていこうれいかい)について学ぶことにしましょう。それにはまず私が、はじめて交霊会に招かれたときの体験談をするのがいちばんよさそうです。
『母と子の心霊教室』【1 著者(ちょしゃ)の体験】これは私がまだ心霊学(しんれいがく)について、あまりよく知らなかったころのことですが、ある日、私のいちばんの仲良(なかよ)しが訪(たず)ねてきて、帽子(ぼうし)をとって腰(こし)かけるなり、→
『母と子の心霊教室』→いきなりこんなことをいったのです。「あのね、チャールズ、実はブラウン・オウルがぜひ君に来てほしいとのことなんだけど…」「え、誰(だれ)だって?」聞いたこともない名前なので私はびっくりして聞き返しました。
『母と子の心霊教室』すると友だちは平気な顔で「ブラウン・オウルだよ」と答えます。「ブラウン・オウル?いったいそれはどんな人間だい。まるでインディアンみたいな名前だな」
『母と子の心霊教室』「そのとおり、インディアンなんだ。そのインディアンがこの僕(ぼく)に、あすの晩(ばん)の交霊会(こうれいかい)に、ぜひ君をつれてくるようにというんだ」そう聞いて私も少しずつ事情がわかってきました。
『母と子の心霊教室』というのは、そのころ時おりその友だちが、私たちのもうひとりの友だちで、霊媒(れいばい)をしているY(ワイ)夫人の支配霊(しはいれい)の話をすることがあったのです。
『母と子の心霊教室』ははあ、Y(ワイ)夫人の支配霊(しはいれい)のことだなと思った私は、よし、ひとつこの機会に交霊会(こうれいかい)というものがどんなものか、この目でたしかめてやろうと考えて、よろこんでその招待をうけることにしました。
『母と子の心霊教室』「あすの晩(ばん)の7時、僕(ぼく)の家だよ」友だちはそういってから、さらに「時間におくれないように頼(たの)むよ。霊(れい)を待たせるのも失礼だからね」とつけ加えました。さて翌日(よくじつ)の晩(ばん)です。
『母と子の心霊教室』私はいわれたとおり7時かっきりに友だちの家を訪(おとず)れました。心の中は、いったいどんなことが起きるのだろう、という興味と不安とでいっぱいでした。
『母と子の心霊教室』というのも、そのころの私は、霊(れい)というものは恐(おそ)ろしいものとばかり思いこんでいたのです。部屋に案内されてみると、すでに4人の女性と3人の男性が私を待っておりました。私を入れた8人は、まもなく2階の小さな部屋に通されました。
『母と子の心霊教室』こじんまりとした気持ちのいい部屋です。たしか壁(かべ)には絵が1、2枚かかっており、花びんにはきれいな花がたくさん生(い)けてありました。そこは交霊会専門(こうれいかいせんもん)の部屋だそうで、ほかのことにはぜったい使わないとのことでした。
『母と子の心霊教室』やがて、私たちはまるく輪(わ・サークル)になって腰(こし)かけました。そのうちのひとつのイスのそばには電蓄(でんちく)が置いてあり、そのすぐそばに小さな机が置いてあって、レコードが用意してあります。
『母と子の心霊教室』窓(まど)のカーテンがぜんぶ下ろされて、光が入らないようにしてありました。また、もうひとつのイスの近くに電灯のスイッチがあります。あとで聞いたことですが、席はいつも決まっているとのことでした。
『母と子の心霊教室』また、いったん出席することがきまった人は、交霊会(こうれいかい)の日はどんなことがあっても出席し、時間もぜったい厳守(げんしゅ)しなければならないことになっていることも聞かされました。そうしないと霊(れい)との仕事はうまくいかないのだそうです。
『母と子の心霊教室』しかし、なんといってもいちばんたいせつなことは、出席者一同が仲良(なかよ)く和気あいあいとした雰囲気(ふんいき)になることでしょう。もしも、出席者のあいだで不愉快(ふゆかい)なことが起きると、それだけで交霊会(こうれいかい)が失敗に→
『母と子の心霊教室』→終わってしまうこともあるのです。このことは公開交霊会(こうかいこうれいかい)の説明のところでも述べたはずです。さて私たちは図のように、男、女、男、女の順で腰(こし)かけました。そして、みんなが落ち着いたところで、司会者が立ってこうのべました。
『母と子の心霊教室』「病気で苦しんでいる人たちが1日も早く回復し、また、今日の交霊会(こうれいかい)に、立派(りっぱ)な霊(れい)がたくさん集まってくださるよう黙(もく)とういたしましょう」その言葉にしたがって全員が黙(もく)とうをささげ、つづいて静かに聖歌をうたいおわると、→
『母と子の心霊教室』→こんどは隣(となり)どうしが手をつなぎあって、電蓄(でんちく)から流れる静かな音楽に耳を傾(かたむ)けました。しばらくすると「よろしいですか」という司会者の声がして、赤の豆電球がともされ、それと同時に、ほかの電灯が消され、→
『母と子の心霊教室』→私たちは握(にぎ)りあっていた手を放しました。私の目がようやく赤色の光に慣れてきたころ、ひとりの婦人が「霊(れい)の姿(すがた)が見えます」といって、その姿(すがた)かっこうを説明しはじめました。説明がおわると別の人が「霊(れい)が話しかけております」→
『母と子の心霊教室』→といって、その霊(れい)の言葉をつぎつぎと告(つ)げました。それはその会のひとりにあてたもので、近ごろその人の胃腸(いちょう)が弱っているから、食べ物によく気をつけるように、という内容のものでした。
『母と子の心霊教室』これでおわかりのように、その会の人はひとりひとりがなんらかの霊的能力(れいてきのうりょく)をもっておりました。もちろん第3章で説明した、公開交霊会(こうかいこうれいかい)の霊媒(れいばい)ほどの霊能者(れいのうしゃ)ではありません。
『母と子の心霊教室』どうやらそのサークルは、そういう専門(せんもん)の霊媒(れいばい)になるための実習をしている人たちで、いわば霊媒(れいばい)の卵の集まりらしいということが少しずつわかってきました。
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-----5章02
『母と子の心霊教室』【2 ブラウン・オウル霊(れい)の出現】ところが、つづいて妙(みょう)なことが起きました。さっき私がY(ワイ)夫人といっておいた人が、まるで居眠(いねむ)りでもしているみたいに、ぐったりとイスによりかかり、しかもほかの人たちは、→
『母と子の心霊教室』→そのようすをさも興味ぶかそうにながめながら、何かが起きるのを待っているみたいなのです。何も知らない私が、いったいY夫人はどうなったのだろうと心配していると、さらに不思議なことが起こりました。
『母と子の心霊教室』それは、今までぐったりとしていたY夫人が、突然からだを起こし、きちんと姿勢(しせい)を正して、目をつぶったまま、にっこりとほほえみながら、出席者全員を見まわしたのです。そのようすは、ふだんのY夫人とはすっかり変わっておりました。
『母と子の心霊教室』もちろん目や鼻や口はふだんと同じ形をしていますが、その表情からうける感じや動きが、ふだんの夫人とはちがって、まるで男のようなのです。やがてその口が動いてこうあいさつしました。「ようこそ、みなさん、ブラウン・オウルです」
『母と子の心霊教室』その声はY夫人とは似ても似つかぬ荒あらしい低い声でした。しかし出席者は少しも驚(おどろ)いたようすも見せず、反対に、まるで仲(なか)のいいお友だちにでも話しかけるような口調(くちょう)で、「こんばんは、ブラウン・オウルさん」とあいさつしました。
『母と子の心霊教室』それもそのはずです。あとで聞いてみるとブラウン・オウルは、私の推測(すいそく)どおり、Y夫人の支配霊(しはいれい)で、週に1度、こうして出てきて出席者の霊能(れいのう)養成の指導にあたっているのでした。
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-----5章03
『母と子の心霊教室』【3 霊媒(れいばい)と支配霊(しはいれい)】ではY夫人はいったいどうなっているのでしょうか。だれしも不安に思いますね。が、心配いりません。そのわけを知っていただくために、ここでもういちど、第1章の5、死とは何だろう、という項目(こうもく)を→
『母と子の心霊教室』→読んでみてください。その中で私は、人間が眠(ねむ)ると肉体とエーテル体とが離(はな)れること、そして、ふつうの人は離(はな)れているあいだの体験をおぼえていないが、霊能者(れいのうしゃ)はそれをはっきりと思いだすことができる→
『母と子の心霊教室』→ということを述べました。このことから考えていただけば、霊媒(れいばい)つまりY夫人の状態がおわかりになるはずです。Y夫人の意識は肉体からエーテル体へと移ってしまい、その留守中にブラウン・オウルという霊(れい)が、その肉体を使って→
『母と子の心霊教室』→話をしているというわけです。Y夫人は女性ですが、ブラウン・オウルは男性ですから、声や態度が男性的になるのです。あとで聞かされた話によりますと、ブラウン・オウルはいまからほぼ100年前に地上を去ったインディアンだそうです。
『母と子の心霊教室』ふたたび交霊会(こうれいかい)の話にもどりましょう。Y夫人のからだに宿ったブラウン・オウルは、やがて席を立って、ゆっくりと部屋を回りながら、出席者の一人ひとりに話しかけました。「こわいだろうなぁ」みなさんはきっとそう思うでしょう。
『母と子の心霊教室』私も最初は気味(きみ)悪く思いました。しかし話をしてみると、ブラウン・オウルはとてもおもしろい人で、冗談(じょうだん)をいって笑わせることもあるのです。考えてみると、これもあたりまえのことです。
『母と子の心霊教室』なぜかといえば、これまでなんども述べたように、人間が死ぬということは肉体を捨(す)てるだけのことで、性格は急には変わらないのです。ブラウン・オウルは、きっと地上でも愉快(ゆかい)な人だったにちがいありません。
『母と子の心霊教室』では、ブラウン・オウルはただそうやって話し合ったり、冗談(じょうだん)をいったりするだけかというと、けっしてそうではなく、話し合っているうちにいろいろとたいせつな教えをのべましたし、→
『母と子の心霊教室』→ほかの霊(れい)が出て話すときに手助けをしたり、またその会を邪魔(じゃま)しようとする悪い霊(れい)を追い払(はら)う役目もしていたようです。
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-----5章04
『母と子の心霊教室』【4 霊能(れいのう)があるから偉(えら)いのではない】さて、ブラウン・オウルはいよいよ私のところへ来ました。そして“やあ”と、いかにも親しい友だちに会ったときのようなあいさつをしてから、およそつぎのようなことをいいました。
『母と子の心霊教室』「今夜あなたをお連れするように頼(たの)んだのは、この私です。そのわけは、あなたが近ごろ人間は死んだらどうなるのかをしきりに知りたがっておられることが、この私にわかったからです。」
『母と子の心霊教室』「それに、もしこの部屋に集まっている同志が賛成してくれれば、ぜひあなたにもこのサークルのメンバーになっていただきたいという、私の希望もあったのです」
『母と子の心霊教室』ブラウン・オウルが“同志”と呼んだのは、イスに腰(こし)かけている地上のメンバーのことだけではなく、エーテル界の協力者も含(ふく)まれているようでした。私はブラウン・オウルが大好きになってしまいました。
『母と子の心霊教室』正直にいって、そのころの私は、霊視(れいし)能力も霊聴(れいちょう)能力もありませんでした。いまもありません。しかし聞くところによれば、別にそういう霊能(れいのう)をもっていなくても、ただ私が出席しているだけで、霊(れい)がわの仕事の→
『母と子の心霊教室』→助けになるのだそうです。私が出席したような会を霊能養成会(れいのうようせいかい)ともいいますが、こうした会は世界中に数え切れないほどあって、みんないっしょうけんめい霊能(れいのう)を開発しようと努力しています。
『母と子の心霊教室』しかし、どこの会でも、メンバーのすべての人が霊能(れいのう)を発揮(はっき)するようになるとはかぎらないのです。専門(せんもん)の霊媒(れいばい)となって、公開交霊会(こうかいこうれいかい)などが催(もよお)せるようになる人は→
『母と子の心霊教室』→ごくまれにしかいません。しかし、霊能(れいのう)を発揮(はっき)することばかりが偉(えら)いのではありません。
『母と子の心霊教室』まじめに努力していれば、たとえ霊能(れいのう)は出なくとも、自分では気づかないうちに立派(りっぱ)に神さまのお役に立っていることがあるのです。これはひじょうにたいせつなことですから、忘(わす)れないようにいたしましょう。
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-----5章05
『母と子の心霊教室』【5 なぜ赤い電灯を使うのだろう】ところで、その会がはじまるときに、電灯を赤色にかえたのはなぜでしょう?なぜふつうの電灯ではいけないのでしょうか。私も最初それがわかりませんでした。
『母と子の心霊教室』が、いろいろと勉強しているうちに、なるほどと思うようになりました。わかってみるとなんでもないことなのです。みなさんは写真の現像(げんぞう)が暗室で行われるのを知っているでしょう。それと同じ理由なのです。
『母と子の心霊教室』つまり白い光線が入ると現象が出にくくなるのです。まっ暗にしなければならないこともあります。が、それはめったにないことですし、むしろふつうの明るさで行うことの方が多いくらいです。公開交霊会などはそのいちばん良い例でしょう。
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『母と子の心霊教室』【6 交霊会(こうれいかい)のおわり】さて、その夜の交霊会(こうれいかい)がそろそろおわりに近づいたころ、ブラウン・オウルは出席者全員に向かって、勇気と知恵をあたえてくれる話をしてくれました。そして最後に神さまに向かって→
『母と子の心霊教室』→「このつぎまたここに集まる日まで一同が無事でありますように」とお祈(いの)りしました。それでお別れになったのですが、私はなんだか仲(なか)のよいお友だちと別れるような気がして、少しさびしい気がしました。
『母と子の心霊教室』ブラウン・オウルが別れを告げて2、3分ほどして、そのからだが目を開きましたが、こんどはたしかにY夫人です。夫人は目が覚(さ)めるなり「ああ、もどりましたね」とひとりごとのようにつぶやき、→
『母と子の心霊教室』→「いままで常夏(とこなつ)の国へ行っておりました。とても美しい世界で、なんだか私は地上へ帰るのが残念に思えましたよ」と語られたことでした。
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-----5章注釈
『母と子の心霊教室』【注釈(ちゅうしゃく)シルバーバーチ交霊会(こうれいかい)について ―訳者(やくしゃ)】このブラウン・オウル交霊会(こうれいかい)によく似たサークルは、英米にはたくさんありますが、その中でも世界的に名を知られているものに→
『母と子の心霊教室』→「シルバーバーチ交霊会(こうれいかい)」というのがります。モーリス・バーバネルという霊媒(れいばい)を使って、シルバーバーチと名のる古代霊(こだいれい)(3千年前に地上で生活したといいます)が、支配霊(しはいれい)として高等な霊的真理(れいてきしんり)を→
『母と子の心霊教室』→説いてきました。1920年代にはじまって1970年代まで、ほぼ50年もつづきました。その教訓が『シルバーバーチの霊訓(れいくん)』となって発行されていますが、その中に、シルバーバーチ霊(れい)と子どもとの対話がいくつか載(の)っています。
『母と子の心霊教室』それを本書のおしまいのところに紹介(しょうかい)しておきますので、ぜひ読んでください。
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