ナザレの少年は神殿で語り始めた。その言葉は両刃の剣のように鋭く、百戦練磨の論客をヘこましてしまった。最初のうちは陽気に話をしていたが、段々と学者たちが真剣になり、どんな注解書から引用しているかを質し始めた。イエスの返答が余りに単純で意味深いので、居合せた学者たちは、ただ驚嘆するばかりであった。
2日目には、1人の長老がみんなと相談して、イエスを中央の石台の上に立たせて言った。「もう我々は何を言ってもイエスにはかなわないので、もっと充分に時間をかけて彼の話を聴いてみたいと思う。それから彼の知恵について正当な判断をくだそうじゃないか」
老賢者たちは笑いながら同意した。心の中では、どうせこの小僧めがボロを出すにちがいないと思っていたからである。質疑応答だけでは、その人の真意を理解することができない、演説させれば学識内容や欠点が顕れると考えたからである。
しかしイエスは、全く怯む様子もなく、神の子として少年時代をすごしてきたときに天の御父より示された人間の理性の働きのすばらしさについて語った。聴衆は、ただただ舌をまくばかりであった。ある部分は、ラビ・ヒレル(当時尊敬されていた学者)の言葉に置き換えて彼らの理解を助けた。
しかしイエスの話は、他の引用だの、参考資料だの、まわりくどいことが無く大胆に語ったのである。彼は次のように語った。
『天の王国は、畑に隠されている宝のようなものです。人がそれを発見すると、持っていた全財産を売りはらってその畑を買うのです。天の王国は、また、種子の中で1番小さな、ひとつぶの芥子種のようなものです。土に蒔かれ育つと、大きな木になって地上に陰をつくって、鳥がかくれ家に利用できるほどになります』
イエスは、このような警話を用いながら、深遠な意味を解き明かすのであった。天の王国は、善人の心に蒔かれると大きく育って大木となり、多くの人々がそこにやって来て慰めを得ることを示したのである。人間というものは、最初どんなに小さな存在であっても(芥子種のように)、偉大な存在になれることを説いたのである。
イエスは多くの知恵ある言葉を語った。並居る律法学者や権威者たちが、うっとりとして彼の知恵に聴きいっていた。彼が疲れたように見える頃になって、遠くからこの様子を見ていたマリヤがヨセフに言った。「ねえ、ヨセフ、イエスのところに行きましょうよ。この人たちに息子だということを知らせてやりましょうよ」
「いや、だめだよ。おれの服と言葉の訛で、すぐガリラヤの田舎者だということがばれてしまうから、いやなんだよ!」ヨセフはあとずさりをした。マリヤはイエスを愛していたのでそんなことにはお構いなく、学者たちの間をくぐり抜けながら前の方へ進んで行った。
彼らはそんなマリヤには気付かず、熱心に話し合っていた。マリヤは下からイエスの衣の裾を掴まえたが、イエスは全く気が付かなかった。マリヤは声を大きくして言った。「息子よ!私たちは、3日間もお前を探し回ったんだよ!お前はどうして私たちをこんなひどい目にあわせるんですか?」
くるりとふりかえってイエスはマリヤを見つめていたが、イエスには全く見知らぬ人が居るように思えた。彼の心は遠くにあって、偉大なラビを相手にしていたからである。イエスは即座につぶやいた。『僕は今、天のお父様の仕事をしているのが解らないのですか!』
この言葉にマリヤはがっくりして、そこにしゃがみこみ、泣きだしてしまった。白髪の大勢の賢者たちに圧倒されていたマリヤは、イエスの呟きの意味も解らずに、すっかり度胆をぬかれてしまったからである。例のパリサイ人“シケム”がやってきて言った。
「あなたがイエスのお母さんですか?」やさしく声をかけられたのでマリヤは胸をなでおろした。「ああ、先生、私の息子をお返しください。私たちは空しい思いをしながら3日のあいだイエスを探し回ったのです。山のふもとにたむろしている盗賊に捕まって泥棒にでもなってしまったのかと心配してました」
パリサイ人は言った。「彼はもう1日、イスラエルの偉大なる教師を務めるでしょう。それがすんでから、イスラエルの誇りと栄光という“お土産品”を添えてお返し致しましょう。ここにおられる大勢の学者、長老たちも、お父さまの名誉をほめたたえるでしょう」
こう言ってからパリサイ人はイエスに尋ねた。「このまま、ずっとわしの家にとどまってもよいのじゃよ。それともガリラヤへ帰って御両親にお仕えするか、どうかね」
「先生、それはとてもむずかしい質問ですね。でもやはり、先生の御指図に従います」暫く考えてからパリサイ人はゆっくりとした調子で話しだした。
「そうだなあ、もしお前がわしの家に止まって神殿の中で勉強を続けていったら、お前の磨ぎすまされた知恵をねたむやつがきっとでてくるじゃろう。それよりは、わしのシャッポを脱がせた知恵をお前に授けられたガリラヤの山々に戻ったほうが、はるかに賢明じゃ、やっぱり帰りなさい!
そして大人になるまで御両親に仕えるのじゃ。その間にガリラヤの美しい湖や野山で、もっともっと輝くような知恵の宝を積みあげるのじゃ。そのかわり、大人になったら、必ずわしの処に来て、わしの息子になるのじゃぞ」
マリヤは怯えているヨセフをパリサイ人のところに連れてきた。この老賢者“シケム”は、マリヤとヨセフを自分の家に案内した。彼はこの家族のために、旅に必要なものを用意し沢山の御土産品を持たせた。彼はイエスのことを褒めちぎったので、ヨセフは感極まって地に平伏してしまった。
■2022年10月5日UP■「あなたを守りたい」これがつまり奴隷の女の子を助けないという意味なのです(祈)†僕が奴隷の女の子を救出すると、その霊団が降らせて教えてきた物的攻撃に晒される事になり、霊団はその攻撃から僕を守るために奴隷の女の子の救出をあきらめざるを得ないといったような事を言っているのです。そして奴隷の女の子の事をあきらめさせるために交霊会の事をずっと言い続けてくるのです。「アキトくんの気持ちは分からないでもないが、奴隷の女の子たちは自らの罪障消滅のため、霊的向上のために自ら志願してその人生を選択し、奴隷の女の子として物質界に降下した人間なのだ。それよりキミは自分の使命遂行を成功させる事を考えなさい」とでも言っている霊団の声が聞こえてきそうです。要するに奴隷の女の子たちを見殺しにするのは非情というのとは違う、霊的視点に立って考えないと真実の理解には到達しない、という事なのですが、この心の中に渦巻く釈然としない気持ちはどうやっても拭う事ができません…続きを読む→ ■2021年9月8日UP■「丸10年だよ」僕の人生を完全に破壊した霊団の言葉です。軽々しく言いやがって人の気も知らずに(祈)†丸10年だよ、皆さまどうかこの言葉を簡単にサラッと流し読まないで頂きたいのですが、これは僕の人生が霊団主導で10年間破壊され続けたという意味で、僕がこの10年に味わわされてきた最低最悪の出来事の数々を霊団が一言でコロッと片付けてきた、という意味になるのです。この僕の10年にわたる積年の恨み、どうやったら皆さまに理解して頂けるでしょう。そして、奮闘を忘れていません、これも「アキトくんの10年間のガンバリは我々は忘れていない、しっかり心に刻み付けているよ」という霊団の言葉なのですが、僕は霊団の事をいつも何と言っていますか「口だけ霊団」ですね。これぞ口だけの上っ面の軽薄発言そのものであり、さも同情的な事を言っておいて実質僕に現状の苦しい状態を続けさせようという霊団のごまかしの言葉となります。ムカムカ×1億 さらに…続きを読む→ ■2023年2月22日UP■「自分を霊媒にする事を考えるのです」僕は書籍テキスト化に全力を尽くします(祈)†「サークルメンバー問題」についてお話しますが、交霊会は霊媒ひとりではおこなえません。上記に説明したように低級霊のジャマが入りますのでそのジャマを排除せねばなりません。そこで必要になるのが「サークルメンバーつまり霊的仕事をおこなうためのある一定レベルの資格を有した数名の人間から抽出したエクトプラズム」なのです。サークルメンバーからエクトプラズムを抽出し、そこに霊界から持参した成分をミックスさせて、低級霊を締め出す「防御壁」のようなモノを拵えるのだそうです。その防御壁がなければ霊媒は低級霊のオモチャにされてしまうのですが、霊団が言うには僕という霊媒の交霊会ではその防御壁がしっかりしているので「邪悪が入る余地はない」のだそうです…続きを読む→