ナザレでは、ヨセフの家は栄えて豊かであると、もっぱらの評判であった。それは、マリヤが気の毒な人々に心から親切にしていたからである。しかし村の人々が考えているほど楽な暮らしではなかった。乞食がやってくると、マリヤは手ぶらで彼らを去らせることはなかった。
次男のトマスは、今では一家の大黒柱であったが、母が乞食に親切であることに文句を言った。イエスが荒野に行ってしまってからというものは、貧者の手助けをすることによって自分を慰めていた。
そのために、マリヤは生活を切り詰め、食べ物さえもろくにとらず、本当に飢えている人々に与えようとするのであった。その上、夜おそくまで機(はた)を織り、町からやってくる行商人に買ってもらい、小銭をためては病人や困っている老人に救いの手をさしだすのであった。
ガリラヤの女たちは、中年になると太ってくるが、マリヤは例外で骨が見えるほど痩せていた。それで働きすぎたときなど、空腹でしばしば倒れるのであった。そのたびにトマスは小言をもらすのであるが、母はやさしく言うのである。
「ねえトマスや、ガリラヤの人々はみんなひとつ家族なのだよ。たとえ乞食であろうと、従兄弟のように思わなくちゃね。おまえもよく知っているだろう、血を分けた者が飢えていたり、ボロをまとっていたら、助けてやるじゃないか」
トマスは言った。「だけどね、お母さん!おれたちが稼いだものは、うちの家族のためにとっておかなくちゃ!凶作のときのためにもね」マリヤは言った。
「前にイエスが家にいた頃にこんなことを言ってたよ。『明日のことを心配することはない。明日は必ず何とかなるものだよ』てね。それからまた草むらの中から一本の白い花を抜き取ってみせて『ほら!この花を見てごらんよ!天の御父がすべての生き物を養っていて下さることが分かるだろう。神への信仰があれば明日のことをくよくよ考えなくてもいいんだよ』とも言ってたよ。
そのときはまったく馬鹿な女だったからイエスの言ってることが分からなかったのさ。でもね、いまになってそのことが分かってきたんだよ。すばらしい真理なんだよ。『我々はみんなひとつの家族、そして我々はその枝である』ってね」
マリヤは最後の言葉を何度も繰り返し、溜め息をつきながら言葉をきった。トマスはイエスへのねたみを感じながら言った。
「おやじが寝こんでから、もう4年にもなるんだぜ!手足が動かず、ベットから起き上がることもできないんだよ!僕も弟のヤコブも一生懸命はたらいて、おやじの面倒を見、家族を支えているというのに、兄貴は家出して家のために何ひとつしてくれないじゃないか。家族のことをほったらかしにするような浮浪者なんかどうでもいいじゃないか!」
マリヤはトマスのねたみを感じながら言った。「トマス、よくお聞きよ。おまえの父ヨセフの職業は立派で、とても繁盛していたじゃないか。それをそっくり引き継いで働かせてもらっているのはお前とヤコブだよ!しかもこの家から長男イエスを追い出したのはどこの誰なのさ!おまえじゃないか!
あのときにお前が父さんに言ったことを覚えていないのかい!〔僕をとるか、兄貴をとるか]と父さんに迫ったのはお前じゃないか!母さんはね、今でもイエスがどこに居るかが分かれば飛んで行きたいのよ、ティベリヤでもどこでも行きたいんだよ!
イエスはね、この家から離れたくて出ていったんじゃないんだよ、お前が追い出したんだよ!腹黒いナザレの大先生(律法学者)のワナにかけられた時も、イエスはガリラヤから出ていったんだよ。村じゅうの人々からこっびどくやられたのはイエスのせいじゃないことは分かっているんだよ。
トマスや、よーくお聞きよ!私の長男イエスはたしかに変わり者で、ときどき変なことを口走ることがあったよ。でもね、このことに関しては(イエスの家出)イエスが本当に家族のことを思っていたからだということを考えてみるんだね!」
トマスは口をとがらせながら言った。「母さんはイエスのことを1番愛している。僕なんか母さんのためにどんなに働いても、いつも2番目なんだから」「馬鹿な子ね!おまえも本当に良い息子として愛しているのに。でもね、だれも風向きを変えられないように、霊のおもむく愛の方向を変えることができないんだよ」
マリヤは心おだやかに言葉をむすんだ。トマスは腹をたてながらも母の言うことには何ひとつ逆らうことはできなかった。幸いイエスが家に戻らないので、彼は内心満足していたことも事実であった。
しかしいったん心の内に芽生えた憎しみというものは、雑草のように大きく成長するのである。憎しみの感情を少しでも和らげるために、まだ成人していない弟セツに当たり散らすのであった。セツはまだ16歳の少年でどこか風采がイエスに似ていた。
それでセツを見ていると、どうしても兄のイエスのことが思い出され、セツに八つ当たりするのである。トマスにはサラという妻がいて、家族のことはみんな彼女にまかせていた。サラは生来の怠け者で、いつもゴタゴタの種であった。
まるで草むらにひそんでいる蛇のように残酷であった。おしゃべりで、いつも不平をならし、夫のトマスをそそのかしては、庭つきの大邸宅に住みたいとうるさくせがむのであった。夫のトマスは友達に借りた金を返済するために、がむしゃらに働かねばならなかった。
ある日のこと、弟のセツがトマスのところにやってきて、ルツという女の子と結婚したいと言い出した。ルツは貧しい未亡人の娘であった。トマスは、まだ見習い期間中だから、あと2年間働かねばならないと言った。更にまた、借金があるうちは、これ以上家族の人数をふやすわけにはいかないとも言った。
セツは言った。「僕はもう子供じゃない。1人前の男として自分が決める権利があるんだ。両親さえ許してくれれば僕は結婚したいんだよ」そこでトマスは、ふせっている父ヨセフのところに行き、セツの結婚を許さないように説得した。
しかしマリヤは言った。「私は結婚の邪魔はしないわよ!そんなことをすればセツは家から出て行って、それはひどい暮らしを始めることになるわよ。彼のような若い者には、とても辛い世間だからね」
マリヤには、トマスがイエスを追い出してしまった苦々しい思い出が鮮明に焼き付いていた。またもやセツまでも家から追い出してしまうことは絶対にしたくないと思った。その夜マリヤはセツを説得したが、セツはどんなに頼んでもあと3箇月なら待ってもよいが、トマスの言う2年間はとても無理だと言い張った。
マリヤの生涯には心配が尽きず、ついにセツは家を出てルツと結婚すると宣言したのである。マリヤは、セツには生活力が乏しいので家族を支える力のないことをよく知っていた。それからは、マリヤにはいつも休まる時が与えられなかった。ちょうどその頃、イエスは砂漠からガリラヤへ向けて旅を続けていたのである。
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