ピリポはステパノをとても愛していた。ステパノが集会所から連れ出される頃、ピリポは遠く離れた所で彼のために祈っていた。衣の裾を誰かが引っ張ったので、振り向くとニコラスが立っていた。「すべてが終わったよ。彼は眠っている」と言った。
ピリポが目にしたものは、群衆が立ち去った後に路上に残された流血とサウロの姿であった。サウロはまるで魂が抜けた抜け殻のように突っ立っていた。その側にどろまみれになっているステパノの遺骸が横たわっていた。
迫害者は、始めのうち喜びの表情をあらわしていたが、彼の買収した連中が自分の上着をステパノの足元にかけ、恥辱に満ちた顔付きでうなだれながら立ち去って行く様子を見てから、険しい顔付きに変わった。怒号が止み、人々はひそひそと話し合っていた。空はどんよりと暗くなり、恐怖の念が覆っていた。
ピリポは死体のそばに駆け寄り、そこにひざまずいて大声を挙げて祈った。愛する兄弟の霊を御手に受けて下さいとイエスキリストに呼ばわっていた。サウロがやってきて、残酷な口調で祈ることを止めろと言った。しかしピリポとニコラスはサウロのひどい言葉には耳をかさず、最後まで丁寧に祈り続けた。
ピリポは、その時聖霊に満たされ語り出した。「さあ、我が愛する兄弟を墓に葬ろうではないか。いつの日にか、お前は、なんて悪い事をしたかと気がつくであろう。兄弟の死は、かえって私たちの信仰を一層強めてくれたのだ」
サウロはピリポの口を平手で殴りつけた。「消えて失せろ!この男の死体は、坑(あな)にでも埋めてしまえ!葬式など言語道断だ!こいつは犯罪人なんだ、どうしても墓に葬るというならば、お前も同じ犯人として牢獄にぶち込んでやるからな!」
ピリポは答えて言った。「兄弟よ、あなたは自分の犯した罪を悔い改めなさい。あなたは決して主キリストのお恵みから遠くはなれているのではありません」居合わせた連中は、サウロの言葉を無視して、ピリポとニコラスに手をかし、ステパノの遺体を運び出した。
サウロが止めることができないと分かると、彼はピリポをにらみつけながら言った。「お前らの勝手にするがよい!早く消えちまえ!そのうちお前らのような雑草をユダヤの地から根こそぎ抜き取って絶滅させてやるからな、覚えておけ!」
ステパノは丁寧に墓に葬られた。その夜は弟子たちみんなが集まり協議した。実はヨハネに夢で1つの幻が与えられていた。たくさんの羊が丘の上に散らされて行き、1匹の狼がどん欲に追い掛けまわしている。そして1匹の小羊がかみ殺されてしまった。
彼はこの幻によって、ステパノの死は、いよいよ教会が迫害されることを予告しているものであることを述べた。そこで使徒たちは、エルサレムに止どまるべきか、それとも立ち去るべきかの選択に迫られた。彼らはみんな決死を覚悟した。
アテネからやってきた大金持ちのユダヤ人が、一刻も早くここから立ち退いて、身の安全をはかるように薦めてくれたのであるが、賛成しなかった。臆病な兄弟たちのことを考慮して、立ち去ることを主張する者もいた。12使徒が投獄されて殺されてしまったら、残された者はどうするのかと議論した。しかし、ここに止どまることは、主キリストの御意志であるとの結論を下した。
前に選任された6人(ステパノが殉教したので7人ではなくなった)が使徒の前に呼び出された。ピリポとニコラスは、再びステパノの殉教の模様について語った。使徒は、この2人に今の職務を止めさせ、サマリヤ地方(エルサレムの北方、パレスチナの中央部)で布教するように命じた。
サマリヤ地方は遙かに安全であると思ったからである。使徒は、この2人が当局からにらまれているので、早晩逮捕されるのではないかと考えたからである。
サマリヤへ行くのには、もう1つの理由があった。それは、シモンという男がキリストと称して誤った教えを広めていたからであった。
一刻も早く本当の教えを説いて、教会を発展させる必要があった。そんなわけで、貯えられた金は、安全な場所に移すため、エルサレムからはずれた田舎に山をみつけ、洞穴の中に保管された。そして当番の者が、日々必要な分だけをとりだすことにした。
使徒は、迫害が迫っていることを察知して、恐れている者たちに、早急にエルサレムを離れるように警告した。20人程の人々が一同に集まり、旅立つ前に12使徒から祝福を受けた。彼らは目指す土地にいるユダヤ人に対して、イエスの福音を述べ伝えることを約束した。
迫害が迫っていることは、霊によって事前にヨハネに知らされていた。その他の者は誰も知らなかったのである。サウロはひそかに計画を練り、時が熟すまで、クリスチャンを重罪人として抹殺することを秘密にしていた。サウロの怒りは、ステパノの死ぐらいでは納まらなかった。かえってクリスチャン撲滅の意欲を大きくかきたてる結果となった。
サウロは、大祭司やサンヒドリンの議員たちと話し合った。結論として、エルサレムの住人はペテロやキリストを信奉する者たちが次から次へと病人を治し、奇跡を起こしているのを見ているので、彼らを迫害することを許さないであろうというのが共通の意見であった。
しかしついにステパノが奇跡に失敗したことが話題になった。誰でも知っている、らい病人を治してくれることを期待していたのに、彼は失敗したということを、ローマの総督に報告しようではないかとサウロが言い出した。
「あいつらは、みんな陰謀をたくらんでいるのだ!持ち物をみんなで共有にしているところを見ると、奴らはやっぱり盗んだ獲物を分配している盗っ人にちがいないのだ。
そのうち奴らはエルサレムに火をつけ、火事場泥棒でもやるつもりなんだろう。奴らはなんでもキリストが3日のうちにエルサレムを破壊してしまうという物騒なことを話しているそうじゃないか。さあ、みんなでローマ総督の所へ行って、奴らの陰謀をせん滅する許可をもらってこようではないか」
長老たちはサウロの提案を喜んだ。そして総督の臨席を要請することになった。その結果、早速サウロにクリスチャンを撲滅する権限を与えることになった。まさに、サウロの思うつぼであった。サウロはまだ若造で、ユダヤに来てまだ日が浅かったにも拘わらず、彼はサンヒドリンで幅をきかすようになった。
彼はキリストの教会をたたき潰すだけでは飽き足らなかった。彼はそれ以上の権限を要求した。会堂では、いつもステパノとの論争に敗れ、ステパノの勝利によって傷付けられていた。しかし、何よりもサウロをぶちのめしたのは、ステパノの最期の瞬間であった。
霊の光につつまれた最期の顔は、まさに勝利に輝く征服者のそれであったからである。サウロはローマ総督に対して事の次第を雄弁に語った。臆病な総督は、ローマ人の入れ知恵もあって、ついに迫害の許可をサウロに与えた。ローマ人をそそのかして悪い噂をばらまいたのは、実にサウロであった。陰険な網がひそかに張り巡らされ、キリストの教会を撲滅するための諸準備が整えられていった。
■2022年6月22日UP■「牛ちゃんイイわぁぁぁ♪」牛ちゃんと思いっきり遭遇♪よかったわぁぁぁ♪(祈)†撮影中ずっと話しかけていたので結構疲れましたが、長い撮影を終えて「ゴールタイムが遅れるからもう帰るわよ♪牛ちゃんまた来るわよ♪」と言ってデジ一眼をザックにしまっていると、牛ちゃんが僕の動きに合わせて大移動を開始。僕が帰る方向にずっとついてくるのでした。そして柵の一番端まで来てそこでたくさんの牛ちゃんが群れながら僕を見送ってくれたのでした。僕は少し感動しつつ牛ちゃんに声をかけながら手を振ってお別れし、ゴールの駐車場に急いだのでした。僕は物質界では徹底的にヒドイ目に遭わされながら生活しています。霊団に完全に人生を破壊され心の中は怒りでイッパイの状態で使命遂行していますが、今回のアタックでは牛ちゃんたちのおかげで少し心が安らいだのでした。牛ちゃんは霊界の人間(霊団)と違って優しかったです…続きを読む→ ■2022年8月24日UP■「神に委ねてみませんか」これが実は到底承服できない最低最悪の意味なのです(祈)†僕も神に反逆するほどバカではありません。ぜひ皆さまにも「インペレーターの霊訓」をお読み頂きたいですが、霊的知識を獲得しておきながら神の意に反する行いをした者がどういう状態にさせられるかをインペレーター霊が語っておられます。僕はその知識がありますのでそこまでバカな事をするつもりはありません。ただとにかく「物事には限度というモノがある」これを強調して終わりとさせて頂きます。キビシすぎ、苦難、試練を降らせすぎ、僕ひとりに何もかもやらせすぎ、本気でいい加減にしてくれ、という事です…続きを読む→ ■2022年11月2日UP■「感謝の念は消えません」だからそれは帰幽後の話だろ、物質界の邪悪を滅ぼせよ(祈)†僕は「物質界は地球圏霊界の刑務所」と公言していますが、霊団の動きを見るほどに僕のこの言葉は本当に正解なんじゃないか?という気がしてなりません。つまり刑務所が住み心地良くなってしまったら刑務所としての機能が果たせなくなってしまうので邪悪を(今のところは)滅ぼすつもりがない。未熟霊の矯正に刑務所を活用し続けなければならないからだが、矯正する未熟者がすっかりいなくなった、つまり地球圏霊界全体がある程度のレベルまで向上を果たし、下層界にうごめく低級霊たちもほとんど向上を果たし姿を消し、下層界が空っぽになるくらいのところまで到達した暁には、刑務所である物質界の利用目的が消滅する事になるので、そうなって初めて物質界の邪悪を消滅させるとか、そういうアフォみたいに気の長い事を考えているのではないか、などと思ったりもするのです…続きを読む→