天国の保育園に、エリザベスという10歳の女の子が入ってきました。エリザベスは地上にいたころ、たいへんなお金持ちの家で育ち、ほしいものはなんでも買ってもらうことができましたので、すこしわがままな→
『スピリチュアルストーリーズ』→ところがあります。保育園に来てからも、地上にいたときと同じように、ぜんぶのお友だちが自分をいちばん大事にしてくれて、なんでも思うとおりにしてくれると思っていました。保育園のお友だちも、エリザベスがそういう子である事を知っていました。
『スピリチュアルストーリーズ』もちろん先生も知っていました。でも、わがままは、少しずつなおしていかなければなりません。いっぺんになおそうとすると、ますます悪くなってしまうことがあるからです。そこで先生は、みんなにこう言いました。
『スピリチュアルストーリーズ』「しばらくのあいだは、なんでもエリザベスちゃんの言うとおりにしてあげましょうね」さて、ある日のことです。ジョンとローズマリーは、自分たちのお花畑にエリザベスをつれていってあげました。
『スピリチュアルストーリーズ』そのお花畑は、2人がお花づくりの専門家に教わりながら、いっしょうけんめいに育ててきたものです。ジョンとローズマリーは得意になって、エリザベスにいろいろと自慢をして聞かせました。するとエリザベスはすぐに「このお花畑がほしい」→
『スピリチュアルストーリーズ』→と言いだしました。これにはジョンもローズマリーも、びっくりしました。そして、困ってしまいました。天国の子どもは、けっして他人のものを自分のものにしようとしないからです。2人はすぐに「だめだよ!」と言いかけましたが、→
『スピリチュアルストーリーズ』→そう言ってしまうと、なんだか自分たちのほうが欲ばりのような気がするので、だまって、しばらく考えこんでしまいました。しかし、なかなかよい考えがうかびません。そこで2人は、いつものように、先生にどうしたらいいかを聞きに行きました。
『スピリチュアルストーリーズ』すると先生は、こう言いました。「では、お花畑の半分を、エリザベスちゃんにあげることにしてはどうかしら?」そこで、言われたとおり2人は、お花畑の半分をエリザベスにわけてあげました。しかし、もともとエリザベスは、→
『スピリチュアルストーリーズ』→自分でお花を育てるつもりで欲しがったのではありません。そのことは、エリザベスにわけてあげた畑の花が、みるみるうちにしおれていくことで、よくわかりました。天国の花は、心からたいせつにしてあげようとするやさしい心がなければ、→
『スピリチュアルストーリーズ』→1日も生きていけないのです。でも、エリザベスには、そのやさしい心が少しもなかったのです。ただ花を見て、きれいだなと思うだけなのです。それで、エリザベスの畑の花が、だんだんしおれていったのです。
『スピリチュアルストーリーズ』お花がすっかり枯れてしまったとき、はじめてエリザベスは、なぜ自分の畑の花だけが枯れて、ジョンとローズマリーの畑の花がいつも生き生きとしているのかを考えはじめました。そして、そのことをローズマリーに聞いてみました。
『スピリチュアルストーリーズ』ローズマリーは、天国のお花は、育てる人のやさしい心によって大きく美しくなっていくのだということを、親切に教えてあげました。ローズマリーの話を聞いて、エリザベスは、すっかりものわかりのよい子どもになりました。
『スピリチュアルストーリーズ』そして、わけてもらったお花畑をすぐに2人にかえして、こんどは自分で自分のお花畑をつくろうと考えはじめました。それからというものは、エリザベスはいっしょうけんめいお花を育てました。
『スピリチュアルストーリーズ』そのやさしい心で、エリザベスのお花畑にも、きれいな花がいっぱい咲くようになりました。こうしてエリザベスは、もらうことよりも、あげることのほうがたいせつであるということを知ったのでした。