ヘルモン山の高い傾斜面は、狼、熊、鷲などの生息地である。ピリポ・カイザリヤ地方の人人にとっては、まさに近寄りがたい荒れ地であり、断崖絶壁であった。しかしイエスとヨハネにとっては実に有難い所であった。静寂だったからである。
2人はついに目指す目的地にやってきた。そこはバール・ガトという地名で、むかしは聖地と言われ、バール神をまつっていた所であった。ローマ軍がそこを通ったとき、ローマの神々の像を岩肌にきざんだ。それを見たヨハネは、シーザの権力を感じ、心おだやかではなかった。
しかしイエスはそんな偶像には目もくれず、遥かなる眼下に流れている渓流が吹き出している洞穴を見ていた。緑色の微光がキラキラと光り、水しぶきがあたりの岩に飛び散り、泡だらけの水がゲネサレ湖(ガリラヤ湖の旧称)に向かって流れていくのである。ヨルダンの山岳地帯の中心部は、まさにイスラエルを養う生命の泉であった。
イエスは南の方向に向きを変え、じっと凝視していた。ガリラヤ地方が一望のもとに眺められ、金色に輝いていた。そのど真ん中にガリラヤ湖が青々とひときわ美しく横たわっていた。東の方には、ギレアデやモアブの山々が連なっていた。
更に、南西の方向には、ナザレ人にとってはとても親しみのあるタボル山がそびえており、むかし、サウロとヨナタンが死んだ戦場が近くにあることを思い出していた。(訳者注・サウロはユダヤ初代の王でヨナタンは善良な息子であり、ダビデの少年時代の良き友であった)
このときヨハネは、岩山の間を飛び交っているハゲタカを見ていた。ヨハネはつぶやいた。「死の鳥が舞っている。兄弟よ、ここは悪霊ベルゼブルの巣窟で、とても汚れた場所ではありませんか!
ああ、なんとひどい所なんでしょう!バール神の祭司が人間を犠牲として偶像に捧げた所です。(人身御供のこと)何代も何代も、この辺りは人の血で染められ、罪で汚され、恐怖にさらされた所です。さあ、早くここから立ち去りましょう。ここは人間の住む所ではありません」
ヨハネの声は山々にこだまし、空しく消えていった。再びハゲタカが輪になって彼の頭上を通り過ぎていった。静けさが一面をおおっていた。しばらくして、イエスは淡々として言った。
「この世にはいろいろな静けさがあるのです。このあたりの静けさは、とってもすばらしく、神との出会いを実現させる静けさです。そうではありませんか、旅のお方!」ヨハネがキョトンとしているのを見て、イエスはわざと他人行儀に振る舞った。
ヨハネは言った。「ここは、何百年もの間、異教の神々によって汚された所ではありませんか!」「ごらんなさい!約束の地が私たちの眼下に広がっているではありませんか。神がお住みになっておられるのです」
ヨハネはどうしても神の声が聞こえず何も感じなかった。彼は孤独と恐怖におびえていた。イエスは言った。「もしも私が神の召命を受けたなら、この岩の上を天の御父の神殿とするよう弟子たちに命じるでしょう。そうすれば、かえって悪霊は追い出され、影のように逃げていくでしょう。
聖なる者だけが聖なるものを造りだせるのです。大理石の柱とか、金銀とか、銘木がどうして必要なのでしょうか。この辺りを見てごらんなさい。この山々は、天の御父が自ら切り刻まれた所であり、真心を以て礼拝する者のために用意されている本当の神殿なのですよ」
イエスの言葉が終るや否や、ヨハネの顔に一条の光がさしこんだ。ヨハネはついにイエスの言っていることが分かってきた。「そうですね!真心から神を拝む場所なんですね!この約束の地は、一望のもとに見渡せるんですね!やっと分かりましたよ、あなたの幻が見えてきたようです」
ヨハネの叫び声には全く無頓着にイエスは語り続けた。「もし私が預言者ならば、…いや、いや、そんなはずはないが!私は人の子であり、町の人々のところへやってきたんだから…」彼は再び溜め息をついた。
ヨハネは白雪をかぶった山々や、金色に輝いている眼下の景色をじっと眺めていた。“ここにこそ、人の手で造られない本当の教会が横たわっていた。”そこは神の御座を象徴する場所であった。永遠の平和がヨハネの霊をおおい、かつての異教の神バールの拝所において、彼は神を見いだしたのである。
■2023年3月15日UP■「メッセージだけを見て欲しい」霊団が物質界の邪悪に目をつぶろうとしているのです(祈)†しかしそれは「順番が逆だろ」まず奴隷の女の子たちを助けてあげて、それから交霊会だろ、と僕は思うのです。というのも、奴隷の女の子たちを完全に見殺しにした状態で僕という霊媒を霊団が使用して霊言を降らせたとしましょう。その降ってきた内容がさながら「シルバーバーチの霊訓」を彷彿とさせるような高尚な内容だったとしましょう。その霊団が降らせてきた内容が、人類を救うとか、世界を救うとか、人間は国家も肌の色も関係なく全員が神から神性の火花を賜って個的存在を与えられた、神を共通の親とした霊的兄弟、霊的大家族であり、戦争で敵国の兵士を撃ち殺す事は自分の家族を殺す事と同義であり愚かな事であり、したがって全世界が助け合っていかなければならないとか、そういう心を撃つ美しい内容だったとしましょう…続きを読む→ ■2023年2月15日UP■「私は確信をもって今の時代に役立つと思います」シルバーバーチ霊の思念と思われますが(祈)†僕もこれまで果てしなく霊的知識をお勉強し続けてきて、霊言を降らせる事の重大性は十分すぎるほど理解していますから、シルバーバーチ霊の言葉に反対を表明するほど愚かではありませんが、霊界にはウソというモノが存在しません、僕の心の中など霊団およびシルバーバーチ霊には全て丸見え筒抜けですからあえて正直に書かせて頂きますが、ハッキシ言ってもうウンザリなんですよ。霊性発現(2012年6月)から一体どれだけの月日が流れていますか。この10年以上、霊団はひたすら口だけをピーチクパーチク動かし続けてきましたが物的状況には一切変化はありません、さも今動く、今変わる的な事を延々言われてその通りにしてきてハッとうしろを振り返ってみたら最低最悪の場所にただ閉じ込められ続けただけだった。僕が霊団に対して抱いている怒り憎しみの念はもはやただ事ではないレベルになっているのです、長年の蓄積があるからです…続きを読む→ ■2023年1月25日UP■「霊体で会議に参加し続けてるんですよ」物的脳髄でその様子を全く反芻できません(祈)†どの人間も例外なく物質界に降下するにあたり、指導霊と相談したうえで「こういう試練を体験すればこれだけ向上を果たせる」と考え、自分でその人生を選択して降下してくるのだそうで、つまり奴隷の女の子たちも「殺される人生をあえて選択して降下してきた人間たち」という事になるのですが、僕はそう言われて奴隷の女の子たちを見殺しにする気にはどうしてもなれません。これは僕の個人的意見ですが、物質界に降下するにあたり、基本的には「こういう人生を送る事になる」という概要は決まっているのでしょうが、中には例外もあるのではないかと思っているのです。僕の「霊性発現」はその例外に当たるのではないかと思っているからです…続きを読む→