『母と子の心霊教室』全文掲載 第7章 心霊現象(しんれいげんしょう)のいろいろ その2
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『母と子の心霊教室』第7章 心霊現象(しんれいげんしょう)のいろいろ―その2― みなさんは暗い場所を通るのは平気ですか。いくら霊(れい)はこわいものではないという話を聞いても、やはり気味(きみ)がわるいでしょう。
『母と子の心霊教室』だって、なにが出てくるかわかりませんものね。ことに、ひとりで留守番をしているときに、サラサラとか、コトンとか、ゴトゴトガチャンという音がすると、冷たい水を頭からかぶった時のように、全身がゾーッとします。
『母と子の心霊教室』が、あとで調べてみると、木の葉が風にゆれる音だったり、いたずらネズミのしわざだったりします。そして、みなさんは“なあんだ”と思って安心します。ところが、ある家では風もないのにドアが開いたり、ネズミもネコもいないのに→
『母と子の心霊教室』→コップがころげ落ちたり、もっと気味(きみ)がわるいのは、2階には誰もいないはずなのにコツコツと靴(くつ)の音がしたり、階段を上がったり下がったりする足音が聞こえたりするのです。こんな家を幽霊屋敷(ゆうれいやしき)と呼(よ)んで→
『母と子の心霊教室』→いることはごぞんじですね。では、いったい幽霊屋敷(ゆうれいやしき)はほんとうの話なのでしょうか。この章は、まずそのその話からはじめることにしましょう。
『母と子の心霊教室』【1 心霊(しんれい)研究のはじまり】幽霊屋敷(ゆうれいやしき)というのは実際にあるのです。その例として、いまから100年あまり前に、世界的に有名になった米国の幽霊屋敷(ゆうれいやしき)の話を紹介(しょうかい)しましょう。
『母と子の心霊教室』それは、ハイズビルという小さな村に住む、フォックスという人の家で起きた話です。当時、フォックス家には大ぜいの家族がいましたが、その中に、ケートとマーガレットというふたりのおさない姉妹がいました。
『母と子の心霊教室』妹のケートはやっと9つになったばかり、そしてお姉さんのマーガレットもまだ12歳の少女で、もちろん霊(れい)の話など、いちども聞いたことがありませんでした。しかしふたりには、ときどき不思議なことが起きるのでした。
『母と子の心霊教室』ケートかマーガレットのどちらかがいると、部屋の壁(かべ)でコツコツという音がしたり、空中でパチンという、はじけるような音がするのです。はじめのうちはふたりともたいへんびっくりして、だれがしているのだろうと不思議に思いましたが、→
『母と子の心霊教室』→そんなことが毎日のように起きるので、いつのまにかふたりとも平気になってしまいました。そんなある日のことです。正確にいうと1848年3月31日のことでしたが、ケートとマーガレットがふたりで遊んでいると、空中でまたパチンと音がしたので、→
『母と子の心霊教室』→ふたりがおもしろ半分に「これ、鬼(おに)さん、あたしがするとおりにやってごらん」といって、中指と親指の先をあわせて、パチン、パチン、パチンと3回鳴らしてみました。すると驚(おどろ)いたことに、空中で同じような音が3回鳴ったのです。
『母と子の心霊教室』おもしろがってふたりは、それからなんどもおなじようなことをくりかえして遊びました。そのうちひとりが「では鬼(おに)さん、あたしのいったことがあたっていたらパチンと1回、はずれていたらパチンパチンと2度鳴らすのよ。いいこと?」といって→
『母と子の心霊教室』→その“鬼(おに)さん”にいろんなことを聞いてみました。そしてその結果、たいへんなことがわかったのです。すなわち“鬼(おに)さん”は地上にいたときは行商人をしていました。そして、だいぶ前にこの家に行商にきたことがありましたが、→
『母と子の心霊教室』→当時その家に住んでいた人に殺されて、死体を床(ゆか)の下に埋(う)められた、というのです。2人は少しこわくなってきましたので、すぐに家の人に話して聞かせました。すると家の人は、もしほんとうだったらたいへんだから、→
『母と子の心霊教室』→すぐに警察(けいさつ)に知らせて調べてもらいましょうといって、さっそくお巡(まわ)りさんに来てもらって調査してもらいました。ところがどうでしょう。床の下をあちこち掘(ほ)っていくうちに、ふたりの子どもがいったとおり、→
『母と子の心霊教室』→そこから白骨(はっこつ)となった人間の死体が発見されたのです。さあたいへんです。このことが新聞にのると、アメリカだけでなく、遠く海をへだてたイギリスやフランスなどからも、偉(えら)い学者がおおぜいやってきて、→
『母と子の心霊教室』→いったいケートちゃんとマーガレットちゃんはどんな子ですかと、みんなでいろいろ調べはじめました。中には、ふたりをしばらく貸してくださいといって、自分の家につれて帰り、小さな部屋で実験してみる人までおりました。
『母と子の心霊教室』心霊(しんれい)研究というのはこうして始められたのです。
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『母と子の心霊教室』【2 不思議な物質エクトプラズム】さて、この幽霊話(ゆうれいばなし)を聞いてみなさんは、この心霊(しんれい)現象が前の章で説明した現象と少しちがっていることに気がつきませんか?
『母と子の心霊教室』第6章で説明した現象は、どれも霊能者(れいのうしゃ)の潜在(せんざい)意識という精神の一部を使わなくてはなりません。ところが、ケートとマーガレットの周囲に起きた音は、どう考えてもふたりの潜在(せんざい)意識が鳴らしたものとは思えません。
『母と子の心霊教室』そうかといって霊(れい)が指先を慣らすはずもありません。霊(れい)は肉体をもっていないのですから…。ただひとつだけはっきりしているのは、ケートとマーガレットの両方か、またはどちらか一方がいないと現象がおきないということです。
『母と子の心霊教室』ということは、そういう現象を起こすためにはケートやマーガレットのからだが必要だということになりそうです。するとふたりのからだには、なにか今までに知られていない特別の物質があって、それを霊(れい)が使っているのかもしれない…→
『母と子の心霊教室』→多くの学者はそう考えて、何度も実験をくりかえしながら研究を続けました。そうして、ついに発見されたのがエクトプラズムという物質でした。では、エクトプラズムというのはどんな性質をもっているのでしょうか?これはとても説明のむずかしい物質です。
『母と子の心霊教室』なにしろふだんは目に見えませんし、手でさわってみることもできないのですから…。ですが、ありがたいことに、エーテル界の技術者がこれにいろんな手を加えて、人間の目に見えるようにしてくれますので、いまではそれを写した写真まであります。
『母と子の心霊教室』エクトプラズムの性質でいちばん不思議なのは、形や色や固さが自由自在に変化することです。変化させるのはもちろん霊(れい)の力です。もうひとつ不思議なのは、明るい場所がきらいで、太陽の直射(ちょくしゃ)などをうけるといっぺんに消えて→
『母と子の心霊教室』→なくなってしまうことです。ですから、実験はたいていまっ暗い部屋か、やわらかい明かりを使った、うす暗い部屋で行うのがふつうです。消えたエクトプラズムはどこへいくのかといいますと、大部分は元の霊媒(れいばい)です。
『母と子の心霊教室』大部分といったのは、エクトプラズムは霊媒(れいばい)からだけでなく、出席者からも少しずつぬきだされますから、出席者から出たものは出席者に帰るわけです。
『母と子の心霊教室』このことからわかるように、エクトプラズムは霊媒(れいばい)と呼(よ)ばれている人だけが持っているのではなく、人間のだれもが持っているものなのです。ただその分量の多い人と少ない人、出やすい人と出にくい人の差があるだけです。
『母と子の心霊教室』これだけ説明すれば、ケートとマーガレットの周囲で聞かれた音が、どうやって鳴らされていたかが想像できるでしょう。そうです。霊(れい)がふたりのからだからエクトプラズムをとり、それを使って“音の出る道具”をこしらえていたのです。
『母と子の心霊教室』このことをもっとよく理解していただくために、私自身が出席した心霊(しんれい)実験会のようすをくわしく説明することにしましょう。
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-----7章03
『母と子の心霊教室』【3 心霊(しんれい)実験会ではどんなことが起きるのだろう】実験会に出席したのは、霊媒(れいばい)を入れて20人でした。部屋には出席者のためのイスとふたつのテーブルがあるだけで、壁(かべ)の絵とかタンスなどはぜんぶ取りのぞかれました。
『母と子の心霊教室』そのかわり、2つのテーブルの上には、つぎのような霊(れい)の使いそうな道具がたくさん用意されました。*メガホン2本(金属製のもの)*板2枚(タテ10センチ、ヨコ27センチ)*なわ跳(と)びのなわ1本*ハーモニカ1個*おもちゃのガラガラ1個
『母と子の心霊教室』*タンバリン1個*手振り鈴1個 どうです。聞いただけで、とてもおもしろいことが起こりそうですね。なお、実験は暗やみの中で行われますので、形がよくわかるように、どれにも蛍光塗料(けいこうとりょう)がぬってあります。
『母と子の心霊教室』さて、私たちはまるく輪になって着席し、お隣(となり)どうし手をつなぎました。それはブラウン・オウル交霊会(こうれいかい)のときと同じでした。ただし、霊媒(れいばい)だけは特別な扱(あつか)いをうけました。
『母と子の心霊教室』特別といっても少しもありがたくない、ひどい扱(あつか)われ方でした。まず両方の腕(うで)をイスの肘掛(ひじか)けのところに縛(しば)りつけられました。これは、霊媒(れいばい)がこっそり手を使って、道具を動かすといけないからです。
『母と子の心霊教室』霊媒(れいばい)自身はそんなつもりはなくても、そういう疑(うたが)いをもつ人がいるといけないからです。それから足もイスに縛(しば)りつけられました。上着はきちんとボタンをとめた上に、白い糸で縫(ぬ)いあわされました。
『母と子の心霊教室』なぜそんなことをするかはあとでわかります。その縫(ぬ)い目は部屋のいちばん隅(すみ)からも見えました(写真で以上のことを確かめてください)。こうした準備がおわると、やがて電灯が消されました。するとたちまち現象が起こりはじめました。
『母と子の心霊教室』まず最初に、部屋のまん中(空中)あたりでチリンチリンという手振り鈴の音が鳴りはじめ、それと同時にタンバリンがやかましく鳴りだし、そのうちこんどはハーモニカが演奏(えんそう)をはじめ、→
『母と子の心霊教室』→つづいて2本のメガホンがヒューヒューという音を立てながら部屋中いっぱいを回りだしました。その速さはほんとにすごかったのですが、どこをどんなに回っても、だれのからだにもふれず電灯のコードにもあたりませんでした。
『母と子の心霊教室』やがてメガホンが止まると、その中からなにか人の声が聞こえてきました。なにをいっているのかよくわかりませんでしたが、まもなくそのうちの1本が下りてきて、そっと私のからだにふれ、その大きい方の口を私の耳に向けて話しかけてきました。
『母と子の心霊教室』よく聞くと、それは私の古い友だちの声でした。生きていたときと少しも変わらないほど、はっきりしているのには、私もほんとに驚(おどろ)きました。その友人の話がおわると、こんどは、もう1本のメガホンから「神よ導(みちび)き給え」という→
『母と子の心霊教室』→英国の歌が聞こえてきました。男の人の声です。私たちもよく知っている歌なので、みんなで声をあわせて歌ったのですが、霊(れい)の方があまりに上手(じょうず)に、しかもすごい声量で歌うので、私たちはつい歌うのが恥(は)ずかしくなってきて、→
『母と子の心霊教室』→しまいには口をもぐもぐさせるだけでした。つぎに、なわ跳(と)びのなわが拾いあげられました。ほんとになわ跳びをするのかしらと思っていると、間もなくかわいらしい子どもの声がして、ドスンドスンと足の音とともに→
『母と子の心霊教室』→ピュッピュッとなわが風を切る音が聞こえてきました。やっぱりなわ跳びをしているのです。持ち手のところに蛍光塗料(けいこうとりょう)がぬってあるので、なわをぐるぐる回しているのがよくわかりました。しかしそれはほんのわずかのあいだでした。
『母と子の心霊教室』やがてなわが止まると、おやすみなさいという声がして、同時に、なわが床(ゆか)の上に落ちる音がしました。それから間もなくでした。「電灯をつけてよろしい」という霊(れい)の声がしたので、係の人がつけてみますと、霊媒(れいばい)の上着が→
『母と子の心霊教室』→ボタンをとめたまま床(ゆか)の上に落ちていました。白い縫(ぬ)い目もそのままです。霊媒(れいばい)の方へ目をやると、相変(あいか)わらず手と足をイスに縛(しば)りつけられたままです。あまりの不思議さに、私は何度も目をこすったのでした。
『母と子の心霊教室』そのうち、「電灯を消しなさい」という声がしました。係の人がすぐにスイッチを切ってつぎの現象を待っていると、また、「電灯をつけてみなさい」という声がしました。どうしたのだろうと思って急いでつけてみると、これはまたどうでしょう。
『母と子の心霊教室』霊媒(れいばい)がもとどおりに上着をつけているではありませんか。ボタンも縫(ぬ)い目ももとのままです。ぬぐときも着るときも、ボタンひとつはずさなかったわけです。しかもその間わずかに数秒です。
『母と子の心霊教室』霊(れい)はなんと不思議な、そしてまた、なんとすばらしい能力をもっているのでしょうか。不思議な現象はこれだけではありませんでした。ふたたび電灯を消すと、2枚の板が明るく輝(かがや)きながら、部屋中をユラユラとただよいはじめました。
『母と子の心霊教室』やがてその光の中につぎからつぎへと霊(れい)の顔があらわれて、なにかひとことずつしゃべっていくのです。そのようすは、道で出会った友だちが話しかけるのと、少しも変わりませんでした。
『母と子の心霊教室』さて、会もそろそろおわりに近づいたころ、とつぜん天井(てんじょう)から霊媒(れいばい)の声が聞こえてきました。しかし、実際にしゃべっているのは霊媒(れいばい)の背後霊(はいごれい)です。
『母と子の心霊教室』それにしても、どうして天井(てんじょう)の方から声がするのかしらと思っていると、なにかが電灯の笠(かさ)にふれるような音がして、つづいてドスンと、なにか重い物体が床(ゆか)の上に落ちる音がしました。
『母と子の心霊教室』と同時に「電灯をつけて、霊媒(れいばい)の腕(うで)のひもをゆるめてやりなさい。少しきつすぎます。はやくしないと腕(うで)が使えなくなります」という声がしました。
『母と子の心霊教室』そこで急いでスイッチを入れて、霊媒(れいばい)が最初にいた場所に目をやると、なんと霊媒(れいばい)はもうそこにはいなくて、部屋の反対の端(はし)にいます。その場所は、そうです、さっきドスンという音がしたところです。
『母と子の心霊教室』もちろんイスに縛(しば)りつけられたままです。天井(てんじょう)を見上げると電灯がゆれています。
『母と子の心霊教室』すると、さっきの大きな音は霊媒(れいばい)がイスごと運ばれた音で、電灯がゆれているのは霊媒(れいばい)の身体がそのときにふれたのでしょう。霊(れい)はなんと強い力が出せるのでしょう。
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-----7章04
『母と子の心霊教室』【4 霊(れい)はエクトプラズムをどのように使うのだろう】以上で、その日の実験はぜんぶおわりました。どの現象も、霊媒(れいばい)自身がしたものでないことは、最後まで手と足を縛(しば)られたままであったことで明らかでしょう。
『母と子の心霊教室』また、霊(れい)が直接物体を動かしたと考えるのも少し変です。なぜかというと、もしもそういうことができるとしたら、右の実験会で起きたような現象が、毎日のように私たちの身のまわりで起きてもいいはずです。
『母と子の心霊教室』それが現実に起きていないところをみると、やはりそういった現象を起こすためには、なにか特別な条件が必要であることを示しています。また、ある特殊な人間、たとえばケートやマーガレット、それから実験会における霊媒(れいばい)などのいるときにかぎって→
『母と子の心霊教室』→そうしたことが起きるところをみると、現象をおこすためには、なにかそういう人のからだから、特殊な物質をぬきとってそれを使っているのだと考えることができます。そういう考えのもとに研究を重ねて、ついにエクトプラズムという物質が発見された→
『母と子の心霊教室』→ことはすでにのべました。霊(れい)の説明によりますと、エクトプラズムはそのまま使うのではなく、エーテル界にある別の物質を混ぜて、それを人間の手先や腕(うで)のような形にして、物体を動かしたり音を出したりするのだそうです。
『母と子の心霊教室』メガホンで話をするときは、メガホンの中に人間の発声器官と同じものをこしらえるのだそうです。エクトプラズムのくわしい性質はまだわかっていませんが、とにかく写真に写っているものがエクトプラズムそのものでないことは確かです。
『母と子の心霊教室』便宜上(べんぎじょう)そう呼(よ)んでいるまでです。では、幽霊話(ゆうれいばなし)に出てくる姿(すがた)はなんでできているうのでしょうか。もちろん、それもエクトプラズムです。わかりやすくいえば、霊(れい)が自分のエーテル体の上に、→
『母と子の心霊教室』→エクトプラズムを着るのです。私が出席した実験会では顔だけが作られたわけですが、すばらしい実験会では、全身がそっくり物質化して出てきて、ふつうの人間と同じように部屋を歩きまわり、おしゃべりをし、ときには親とか子ども、あるいは友だちなどと→
『母と子の心霊教室』→抱(だ)きあったりすることさえあるのです。こうした現象を物質化現象といい、心霊(しんれい)現象のうちでもいちばんたいせつな現象とされて、世界中で研究が続けられています。ではつぎに、世界でいちばん有名な物質化現象の話を紹介しましょう。
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-----7章05
『母と子の心霊教室』【5 クルックス博士の実験】ウィリアム・クルックス―みなさんはこの名前を聞いたことはありませんか。19世紀後半に活躍(かつやく)した英国の科学者で、クルックス管、クルックス線、クルックス真空など、いろいろと科学名にその名前が使われているほど→
『母と子の心霊教室』→有名な人です。そのクルックス博士が19世紀のおわりごろに、フロレンス・クックという若い女性霊媒(れいばい)を使って、物質化現象を専門(せんもん)に研究し、その成果を「近代心霊(しんれい)現象の研究」という書物にくわしく書きました。
『母と子の心霊教室』ではその中から、とくに大事なところだけを紹介(しょうかい)してみましょう。霊媒(れいばい)のクック嬢(じょう)がトランス状態に入ると、間もなく身体からまっ白いエクトプラズムのかたまりが出てきて、それがやがて、→
『母と子の心霊教室』→ひとりの美しい女性の姿(すがた)に変わりました。そして、ふつうの人間のように話をしたり笑ったり歩いたりするのでした。その霊(れい)は「私はケーティ・キングと申します」といったそうですが、クルックス博士も、その実験に立ち会った人たちも、→
『母と子の心霊教室』→だれひとりとしてそういう名前の人に心あたりがありませんでした。しかし、キング霊(れい)は心のやさしい人だったので、実験に立ち会った人はだれもがすぐに親しくなり、楽しく話を交(か)わすのでした。
『母と子の心霊教室』さて、クック嬢(じょう)とキング霊(れい)とは名前がちがうばかりでなく、肌の色やからだつきまでちがっておりました。その点についてクルックス博士はつぎのように説明しております。
『母と子の心霊教室』「キング霊(れい)の背の高さはそのときどきでちがうことがありました。いぜん、私の家で実験した時は、クック嬢(じょう)より15センチも低かったのですが、きのうの実験では、素足(すあし)でもクック嬢(じょう)より10センチあまり高かったので」→
『母と子の心霊教室』→「びっくりしました。また、きのうのキング霊(れい)は首すじのところを広くあけていて、なめらかな美しい肌(はだ)を見せていましたが、クック嬢(じょう)は首のところに大きな水ぶくれがあって、さわるとカサカサして、」→
『母と子の心霊教室』→「あまりきれいではありませんでした。それから、キング霊(れい)はいつも耳にはなんの飾(かざ)りもつけていませんでしたが、クック嬢(じょう)はいつもイヤリングをつけていました。色はキング霊(れい)がとても白くて美しかったのにくらべて、」→
『母と子の心霊教室』→「クック嬢(じょう)は浅黒(あさぐろ)くて、正直いってあまりきれいではありませんでした。顔の大きさもクック嬢(じょう)よりキング霊(れい)の方が大きく、指の長さもキング霊(れい)の方がだいぶながいようでした。」→
『母と子の心霊教室』→「こうした姿(すがた)や形だけでなく、歩き方や話しぶりも、ふたりはぜんぜんといってよいほどちがっておりました」クルックス博士の研究はなん年にもわたって続けられましたが、いよいよ実験もおわりに近づいたある日のこと、キング霊(れい)が→
『母と子の心霊教室』→こういいました。「これで、私のお役目もすっかりおわりました。今日お別れしたらさいご、2度と地上へは戻(もど)ってまいりません」
『母と子の心霊教室』この言葉どおり、それからというもの、2度とケーティ・キングという名の霊(れい)は姿(すがた)を見せなくなりました。たぶん、もう1段高い世界へ向上していったのでしょう。
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-----7章06
『母と子の心霊教室』【6 ウォルター霊(れい)のくふう】実験会でみられる不思議な現象は、これ以外にもまだまだたくさんあります。霊(れい)はすばらしい知恵をもっていますから、地上の人びとに、肉体は滅(ほろ)んでも、私たちはこうして立派(りっぱ)に→
『母と子の心霊教室』→生きつづけてますよ、ということを知らせるためにいろんなくふうをこらすのです。いままでの心霊(しんれい)実験でいちばんおもしろいくふうをこらしたのは、マージャリーという女性霊媒(れいばい)のウォルターという支配霊(しはいれい)でした。
『母と子の心霊教室』ウォルターはマージャリー霊媒(れいばい)のお兄さんで、はじめて実験会に出る2年前に鉄道事故で死んだのでした。ではウォルター霊(れい)はどんなくふうをしたのか、それを紹介(しょうかい)しましょう。
『母と子の心霊教室』まずエクトプラズムで自分の手をこしらえて、その指先を、あらかじめ湯でやわらかくしておいたロウのかたまりにつよく押しつけます。すると指紋(しもん)ができます。が、それがほんとうにウォルターの指紋(しもん)であるかどうかは、→
『母と子の心霊教室』→地上に残っている指紋(しもん)と比べてみなければわかりません。それは、ウォルターが生前に使っていたものについているはずです。そこで、ウォルター霊(れい)は自分が使っていたカミソリの刃(は)のある場所を教えて、それに自分の→
『母と子の心霊教室』→指紋(しもん)が残っているから、よく比べてみてほしいといいました。その調査には、警察(けいさつ)の人や指紋(しもん)の専門家(せんもんか)まで立ち会ったのですが、その結果はたしかにウォルター霊(れい)の指紋(しもん)と一致(いっち)→
『母と子の心霊教室』→したのでした。ウォルター霊(れい)は自分の指紋(しもん)だけでなく、ヒルという英国の有名な判事さんや、オリバー・ロッジという世界的に有名な物理学者の指紋(しもん)も作り、どちらも専門家(せんもんか)によってまちがいなしと認められました。
『母と子の心霊教室』ヒル判事の指紋(しもん)は死後6週間目につくられたものですが、ロッジ博士の指紋(しもん)は、意外なことに、博士がまだ生きている間に作られたのでした。作られたとき、博士は遠く離(はな)れたところにいて、そんな実験が行われていることなどまったく知りませんでした。
『母と子の心霊教室』霊(れい)はずいぶんおもしろいことをするものですね。ウォルター霊(れい)はまた、閉(し)め切って鍵(かぎ)までかかっている部屋の中に、どこからか品物を運び込んだり、種類の異(こと)なる2枚の板をつなぎあわせたりしました。
『母と子の心霊教室』外から品物を運びこむのを物品引き寄せ現象(アポーツ)といい、いまでもよく行なわれますが、すぐ近くからだけでなく、遠い外国とか、ときにはエーテル界の“常夏(とこなつ)の国”から運ばれてくることもあります。
『母と子の心霊教室』いったいどうやって運ぶのでしょう?残念なことに、それがまだよくわからないのです。霊(れい)の方もわざと教えてくれないのです。ひとつみなさんが大きくなってから研究していただけませんか。
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-----7章07
『母と子の心霊教室』【7 心霊(しんれい)写真とはどんなものだろう】さて、最後に説明するのは、たぶんみなさんも聞いたり見たりしたことのある、心霊(しんれい)写真のことです。そうです、ふつうに撮(と)った写真に死んだ人の顔が写っている現象です。
『母と子の心霊教室』写真のことをよく知っている人は「なんだ、あんなのはフィルムを2度使えばできちゃうよ」といって信じようとしないのですが、でも、そういう人にカメラとフィルムを用意してもらって、その人の厳重(げんじゅう)な監視(かんし)のもとに、→
『母と子の心霊教室』→霊能者がシャッターを切ると、やっぱり霊(れい)の顔や姿(すがた)、死んだ犬の元気そうな姿(すがた)などが写るのですから、これも心霊(しんれい)現象であることに疑(うたが)いの余地はありません。
『母と子の心霊教室』ときには、顔とか姿(すがた)だけでなく、メッセージ(通信文(つうしんぶん))まで、いっしょに写っていることがあります。こうなると、エーテル界から写真入りの手紙をもらったようなもので、私たちが遠くの人に手紙を書いて、→
『母と子の心霊教室』→写真を同封(どうふう)して送るのと同じですね。が、これだけで不思議がるのはまだはやいのです。といいますのは、もっとすぐれた写真霊媒(れいばい)になると、シャッターも切らずに写すことができるのです。
『母と子の心霊教室』こっそりシャッターを押しているのだろうとおっしゃるのですか?そんなはずはありません。だってカメラには1度も手をふれずに、そばに置いておくだけでいいのですから…。なんとも不思議な話ですね。
『母と子の心霊教室』心霊学(しんれいがく)ではこれをスコトグラフと呼(よ)んで、心霊(しんれい)写真の中でも特別に扱(あつか)うことにしています。
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-----7章08
『母と子の心霊教室』【8 心霊現象(しんれいげんしょう)はなぜたいせつなのだろう】これでおもな心霊(しんれい)現象の説明をおわりました。この中には、たぶんみなさんが前から知っていたものもあるでしょうし、はじめて聞くものもあるでしょう。
『母と子の心霊教室』が、どちらにしても、とにかく不思議な、そしてすばらしい現象ばかりだということは、みなさんのだれもが感じたにちがいありません。ためしにこの中のひとつだけでもお友だちに話して聞かせてごらんなさい。
『母と子の心霊教室』きっと首をかしげて不思議がるにちがいありません。しかしみなさんは、そうやって人を不思議がらせてばかりいてはいけません。それよりも、いったいこうした不思議な現象は、私たち人間にどんなことを教えているのだろうかということを→
『母と子の心霊教室』→真剣(しんけん)に考えなくてはいけないのです。では、これから私といっしょにそのことを考えて、それで長かったこの章をおわることにしましょう。まず、こんな場合を考えてみましょう。
『母と子の心霊教室』いま私が高い塀(へい)でかこまれた静かな庭でイスに腰(こし)かけて、本でも読んでいるとしましょう。その私の足もとに、いきなり野球のボールが落ちてきたとしましょう。そのとき私はどんなことを想像するでしょうか。
『母と子の心霊教室』まさかボールが天から降(ふ)ってきたとは思わないでしょう。きっと塀(へい)の外で野球をしている人がいて、そのボールが塀(へい)を越(こ)えて飛んできたのだと考えるにきまっています。
『母と子の心霊教室』それはだれかが投げたボールが高すぎたのかもしれませんし、うまいバッターがホームランを打ったのかもしれません。どっちにしても、とにかく塀(へい)の外でだれかが野球をしていることにまちがいはありません。
『母と子の心霊教室』心霊(しんれい)現象のことも、これとおなじように考えればよいのです。つまり、物が動いたり人の声がしたりするのは、きっと、それを動かしたりしゃべっているなに者かが、そこにいるにちがいないのです。
『母と子の心霊教室』目に見えないから信じられない、とおっしゃるのですか?それはたいへん幼稚(ようち)な考え方なのです。だって、目に見えないもので、みなさんにとって無くてはならないものがたくさんあるではありませんか。
『母と子の心霊教室』空気がそうでしょう。みなさんは空気を見たことがありますか?ないでしょう。世界中どこをさがしても空気を見たという人はひとりもいません。なのにだれもが“ある”と信じているのは、風で木が動いたり、ほこりが立ったりするのを毎日のように見ているからです。
『母と子の心霊教室』それと同じで、実験会で物が動いたり、ハーモニカが鳴ったり、天井(てんじょう)から声がしたりするのは、たとえ目に見えなくても、だれかが、なにかが、そういうことをしているからだ、→
『母と子の心霊教室』→と考えるのが正しいのです。しかも、実際に霊(れい)がエクトプラズムをまとって出てきて「ごらんなさい。私たちはけっして死んでしまったのではありません。別の世界でちゃんと生きつづけているのですよ」と語っているのですから、人間はけっして死なないのだ、→
『母と子の心霊教室』→死ぬのはからだだけなのだ、死後の世界は本当にあるのだ、と信じてよいのです。
『母と子の心霊教室』心霊(しんれい)実験会は、不思議な現象をただおもしろがってやっているのではなく、ほんとうは、そういうことを教えるために行われるものであることを忘(わす)れないようにしましょう。
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