イエスが十字架を背負って歩いていると、数人の信奉者と女たちがイエスのそばに近づいていた。イエスが倒れそうになっていることを察知して、シモンという名の男が十字架をかついだ。
近づこうとした女たちは、役人の手で押し止どめられてしまった。イエスの親族であることがばれてしまったからである。そんなことではびくともしないマリヤ・クローパスであったが、彼女は今にきっと奇跡が起こると信じていた。
同行の母マリヤも、弟子のヨハネも、そのうちに天使が助けにやってくるとささやいていた。そうすれば、イエスは十字架から降りてきて、みんなの前で神の栄光を現すであろうと信じていた。
彼らは、イエスの声が聞こえるくらいのところを歩いていたので、イエスの悲痛な嘆きを聞くことができた。「私のために嘆くんじゃない、それよりも、これから大きな災害が降りかかろうとしているエルサレムのために嘆きなさい!」
イエスが死刑執行人の手によって十字架にかけられると、真っ先に愛する弟子ヨハネを呼び、自分の母の面倒を依頼した。女たちは十字架のそばに近寄ると、そこにはイエスの血と汗がしたたり落ちているのを目撃した。
陽の光は消え失せ、あたりが暗くなってきても、奇跡は起こらなかった。おしかけてきた祭司や律法学者のあざける声だけが響いていた。彼らはイエスに向かって言った。「おまえが神の子なら、今すぐこの十字架から降りてみろ!他人を救っても自分を救えないとはね!」
また他の者がやってきてののしった。「あの罪状札を見てみろよ!〔ユダヤ人の王、イエス]なんてぬかしやがる」彼らは口々にピラトのことをののしった。ピラトは、イエスのような人間を殺そうとしたユダヤ人を軽蔑していたので、わざわざ、このような罪状札を十字架の上部にはりつけさせたのである。
イエスはついに静けさを破るように大声で叫んだ。『父よ!彼らを許して下さい。訳もわからないで、こんなことをしているのですから』
2人の盗賊も同じように十字架にかけられていた。1人の盗賊は、イエスにつけられた『神の子』という称号をあざ笑った。他の盗賊はそれをたしなめてから、イエスに向かって懇願した。こんな寂しい夜に死んで行く自分を救って下さいと。イエスは彼に言った。『今日あなたは、私と一緒にパラダイスに行くでしょう』
暗闇が一層こくなってきた。夕暮れが近づいていた。十字架のまわりに集まっていた群衆は、異様な暗闇に恐怖を感じ、災害が下るのではないかと恐れ、我さきにと散って行った。そこにはローマの兵隊だけが居残っていた。
イエスを愛する女たちが十字架に近づいた。今こそ奇跡が起こってほしいと祈り続けた。兵隊はランプに火を灯しあたりを明るくした。兵隊たちは、イエスの着ていた衣を分けるためにクジをひいていた。あたりはシーンと静まり、時々十字架上から盗賊のうなり声が聞こえていた。
女たちは、なおも天使がきてくれることを祈り続けていたが、何の変化も起こらなかった。イエスは依然として苦しみ悶えながら十字架に吊されていた。
ついに暗闇が去って青白い光があたりをおおい始めた。イエスは突然叫んだ。
『天の御父よ!どうして私をお見捨てになったのですか?』マリヤ・クローパスは地上に身を伏せ、とめどもなく涙を流しながら泣いていた。彼女はもう天使が来ないこと、そして死んだラザロが生き返ったような奇跡は起こらないことがわかったのである。
イエスはもう帰らぬ人となり、敵を粉砕するために戻ってはこなかった。十字架から少し離れたところにたたずんでいる女たちの耳に、さっきの叫び声が聞こえた。彼らは、イエスの魂が安らかに去れるように祈った。
隊長の命令で、1人の兵隊が葦の棒の先に酢をつけて、イエスの口にふくませた。それを口の中にふくんでからイエスは言った。『すべては終わりました。私の霊を御手にゆだねます』
突然大きな地震が起こった。ローマの兵隊は恐れを感じながら十字架を見上げつぶやいた。「本当にこの方は神の子であった!」
マグダラのマリヤは、他の女たちに対してもう死者のために祈ることは止めようと言った。イエスは死んでいるのではなく、眠っているからだと言った。彼女たちは、そんなことは信じられないと言って、嘆き悲しんだ。
彼女たちは、アリマタヤのヨセフが自分のために用意してあった墓をイエスのために提供し、遺体を引き取ることについて、ピラトの許しを得ていた。墓の入り口に大きな石が封印されてから、女たちは家に帰った。
2人の女だけが夜を徹してイエスのために祈っていた。1人はマリヤ・クローパスで、もう1人はマグダラのマリヤであった。しかしイエスに復活の栄光に輝く日がやってくることを信じていたのは、マグダラのマリヤだけであった。彼女は、まえには売春婦であったが、イエスによって救われた女であった。
1週の始めの日(日曜日)の朝、まだ暗いうちに、マリヤ・クローパスは、イエスの遺骸に油を塗るために、香料と一緒に墓へ向かった。マグダラのマリヤも同行した。その朝は、まさに聖なる夜明けであった。十字架にかけられてから3日目の朝、全人類を清め、祝福する最初の光がさしこんできた。
2人の女は、パリサイ人たちの手で墓の入り口にしっかりと封印された大きな石が、わきにころがっているのを見て驚いた。昨夜から徹夜で墓の番をしていた護衛は、地上でぐっすり眠っていた。それで2人の女は、難なく墓の中に入ることが出来た。
うす暗い墓の中に、白衣を着た1人の男がいる気配を感じたのであるが、間もなく消えうせてしまった。そこに天使が現れて彼らに言った。『どうして生きている方を死人の中に見いだそうとしているのですか?ナザレのイエスはよみがえったのです。ここにはおりません。中をよく見てごらんなさい』
天使は女たちに、この良い知らせを弟子たちに伝えてあげなさいと言った。女たちは、イエスに会えると思っただけで、恐怖心が喜びに変わっていった。墓から出たとたん、彼らの頭に不安が走った。
マリヤはつぶやいた。「ひょっとすると、死体が盗まれたんじゃないかしら。ぐずぐずしちゃいられないわね」しかし、マグダラのマリヤは違っていた。もしかしたら、霊園の広い庭でイエスに会えるかもしれないと思った。彼女は1人で庭の中に入り、1人の白髪の老人が木々の間を歩いているのが見えた。
彼女は失望のあまり、そこにたたずんで泣いていた。しかし、なおもそこでイエスに会えるという希望を捨てなかった。ついに報いられる瞬間がやってきた。その白髪の老人こそ、復活したイエスであった。『マリヤよ!私だ。でも今は近寄らないで下さい。天の御父のもとに昇っていないので』
彼女は庭の出口でマリヤ・クローパスと合流し、弟子たちのところへ知らせに行った。弟子たちは彼女たちの言うことを信じようとしなかった。ペテロだけが恐怖心を吹き飛ばし、墓へ行き、イエスの体が無いことを確認した。
ガリラヤからやってきた信奉者たちも墓へ行ってみると、輝くような衣を着た2人の男(天使)が、1人は頭の部分に、他は足の部分に立っていた。もちろん体はどこにも見当たらなかった。
女たちは、イエスがよみがえったことを証言しても、11人の弟子たちは信じようとしなかった。殊にマグダラが墓の庭園でイエスと話し合ったことを信じなかった。彼らは、まだ聖霊によって信仰が与えられていなかったからである。
イエスは、クレオパスという弟子と、もう1人の弟子と一緒に、エルサレムを離れ、エマオという田舎に向かって歩いていた。この2人の弟子は、一緒に歩いている老人がイエスであることを知らなかった。
この老人の語る知恵の豊かなこと、ただただ驚くばかりであった。しばらくすると、1軒の宿屋にさしかかったので、2人の弟子はここで一緒に食事をしたいとさそった。
彼らは昨日から何も食べていなかった。彼らが食事の席につき、この老人のおだやかな話を聞いていると、落ち込んでいた2人の心が慰められるのであった。
ユダヤの習慣に従って、食前の祈りをこの老人にしてもらうことになった。老人がパンを取りあげて、神の祝福を求める祈りをささげ、パンを2つにさいたとき、2人の目が開け、この老人がイエスであることを知った。すべての仕草や祈りの声で、彼らは同時にイエスであることを察知した。その瞬間、彼らの目からイエスの姿は消えていた。
このようにして、復活したイエスは、様々な形で弟子たちの前に姿を現した。クレオパスに姿を現した翌日、イエスはついに10人の弟子がそろって夕食をしているときに現れた。イエスは彼らの不信と頑固な心とを責めた。それで10人の弟子は、始めてイエスが復活したことを信じ、イエスに心からあやまった。
それでイエスは彼らの不信を許してから言った。「聖霊をうけなさい!」イエスは更に彼らに対して、この「良き知らせ」を文字に記し、全世界の人々に伝えるようにと言った。それからイエスは姿を消した。
このときに居なかった弟子トマスだけはイエスが復活したことを頑強に受け入れなかった。「あなたがたは単にイエスの幽霊を見ただけで、本当に復活したんじゃありませんよ」
別名デドモといわれていたトマスが、このことを口にしたときに、イエスは弟子のど真ん中に姿を現した。そしてトマスの腕をとり、十字架にくくりつけられた時の釘の跡(手と足)に彼の指を入れさせ、胸を突き刺した槍の跡に手を入れさせた。それから又イエスは、魚を食べ蜜をなめながら言った。
「幽霊には肉や骨はないが、おまえの見ている私はどうなのか?」さすがのトマスも返す言葉がなかった。トマスはゆかの上にくずれおち、イエスの足元にひれ伏し、大声で泣きながら許しを求めた。トマスは、ついに自ら掘った墓穴からはい出すことができたのである。もちろん彼は許された。
イエスは至るところで、多くの人の前に姿を現した。姿を現すたびごとに、イエスの容姿から天使の放つような光を増していった。多くの信奉者たちは、もう一度イエスに会いたいと願っていた。そこでペテロは、町から離れた寂しい所に連れていった。約500人程であった。
ヤコブはみんなに静かにして待つようにと促した。そこヘイエスが現れた。彼は両手を挙げて彼らを祝福した。イエスはこの人々の中から、必ずユダヤ、サマリヤ地方だけではなく、地の果てにまで私の証人として出かけて行く人がいると語った。
更に人間の肉体は、死ねばチリになるが、自分の復活のときと同じように、霊は生きるのであると強調した。イエスは11人の弟子をそばに呼び、大切なことを伝えてから、両手を高く挙げ、最後の祝福を与えた。
雲が彼の姿をつつみこみ、視野から消えて行った。2人の天使が現れ、イエスが天の御父のところに挙げられたことを伝えた。弟子たちはイエスが約束した平和な心が与えられるのを待っていた。
■2023年1月25日UP■「霊体で会議に参加し続けてるんですよ」物的脳髄でその様子を全く反芻できません(祈)†どの人間も例外なく物質界に降下するにあたり、指導霊と相談したうえで「こういう試練を体験すればこれだけ向上を果たせる」と考え、自分でその人生を選択して降下してくるのだそうで、つまり奴隷の女の子たちも「殺される人生をあえて選択して降下してきた人間たち」という事になるのですが、僕はそう言われて奴隷の女の子たちを見殺しにする気にはどうしてもなれません。これは僕の個人的意見ですが、物質界に降下するにあたり、基本的には「こういう人生を送る事になる」という概要は決まっているのでしょうが、中には例外もあるのではないかと思っているのです。僕の「霊性発現」はその例外に当たるのではないかと思っているからです…続きを読む→ ■2023年3月8日UP■「我々の言葉を信じなさい」帰幽後に全ての埋め合わせがおこなわれるという意味です(祈)†2000年前のイエス様が物質界に降下しておこなった仕事はもちろん「霊的知識普及」であり「神のご意志遂行」であり、それが現在も「スピリチュアリズム普及」というカタチで継続しているのです。このスピリチュアリズム普及の霊界での総指揮官はイエス様です。どうか霊関連書籍でお勉強して頂きたいです。そのイエス様が、一体何がどうなっているのか僕などというよく分からない画家に「怒涛の連続顕現」で霊的仕事を猛烈にお願いしてきたのです。僕は激しく拒絶しましたが1週間近くイエス様に何とも言えない表情で怒涛にお願いされ続けて僕は根負けしてしまい、この使命遂行をやる“ハメに”なってしまったのです。それから10年(霊性発現が2012年6月、隔離フィールド発動(事実上の使命遂行開始合図)が2014年7月ですから正確にはほぼ9年という事になるでしょうか)僕はずっとそのイエス様と約束した仕事を続けてきたのです…続きを読む→