【6/4】霊界通信 イエスの少年時代 貧窮の中の小さな王者 25 神と富との狭間に

そもそもマリヤが救世主を産みたいとの切なる願いをもって神に祈り、その実現を夢見たのは、ユダヤ民族の救済のためであった。彼女が若かった頃、ユダヤの国全体がローマ帝国の手によって大変悲しい思いをさせられていた。彼らの信仰は踏みにじられ、散々苦しめられたので、ユダヤ人はローマ皇帝を憎み、若者は革命の機会を狙い、軍隊と結託して秘かに陰謀を企て、ユダヤ及びその周辺からローマの勢力を撃退しようとした。

“ユダ”と名乗るゴール人が、ユダヤの青年を指導してシーザーの軍隊と真向から戦いを挑んだことがあった。彼らは勇敢に戦ったのであるが、力およばず、何百という多くの若者が殺されてしまった。

ユダは暫くの間身をひそめ、丘の上で態勢を整え、再びローマ軍と戦ったのであるが、遂にローマ軍に敗れ、滅ぼされてしまった。その後時々若者たちが軍を組織してはローマ軍を襲撃するのであった。このような徒輩は「反逆者ユダ」の手下として知られるようになった。なぜならば、ユダがローマからの自由を望むユダヤ人の心に、解放の火を点火したからであった。(新約聖書、使徒行伝5・37参照)

さて、ローマを悩ませた小刻みな反乱は、当時のローマ総督“キリニウス”の怒りをひき起こし、ユダヤ人の支配者階級の長老たちを震えあがらせる結果を招いた。“サンヒドリン(1)”のメンバーであった祭司たちは、力づくでは到底ローマ人をユダヤから放り出すことはできないことをよく知っていた。それだけに支配者たちは、反乱が起きないようにと厳重に監視した。

殊にローマ総督から、神殿内部の権力を直々にあずかっていたパリサイ人や祭司は、自分の権力の座を奪われないようにと、必死になって反乱を食い止める努力をしていた。そのうちの1人が、大祭司アンナスであった。彼は2人の“主人”に仕えねばならなかった。1人は、全ユダヤの最高の指導者たる、大祭司として仕える神であり、同時にもう1人は、ローマ皇帝であった。

ローマの寵愛を受ける代償として、皇帝の意志通りに従わねばならなかった。ローマに仕える代償は高価なものであった。アンナス家の富は益々豊かになった。彼の親族はすべてキリニウス総督の恩恵に浴し、大きな利益を享受していた。しかしアンナスの心は穏やかではなかった。

ひと晩でも安眠できる日は無かった。彼は常に神殿の長老たち、熱心党(極端な国粋団体)、パリサイ人、サドカイ人(親ローマ派の一大政党)の動きや、ローマからの直接の指令に悩まされていた。けれども彼が享ける莫大な報酬の故に、ローマ皇帝の命に服し権力の座を保ってきた。

しかし彼は悲しくも、過ちを犯していることを知っていた。だから彼は、少年イエスが彼の心をすべて見透かしていることに驚いた。少年イエスが口にした言葉は少なく、その内容は大祭司を驚かす程のものではなかった。しかしこの少年の稀に見る才能、即ち深い悩みを見透かし、過去の記憶をかき回す才能に唖然としたのである。

彼は若い頃、神と人とに忠実に仕える人間になりたいとの夢を持っていた。現実の彼は、毎日のように人々を裏切っていた。ローマ皇帝の言いなりになって、同胞のユダヤ人のためと言いながら自分の地位を保全していた。もし彼がローマ総督の命令に背くようなことをすれば、たちまち馘(くび)になることを承知していた。

大祭司のしもべたちは、大祭司の心境が穏やかでないことを感知していた。アンナスは部屋中を行ったり来たり歩き回っていたからである。アンナスの相談相手をしている1人の年老いた律法学者が突然入ってきて、心を痛めている大祭司に尋ねた。

こんなことをしたら、いつもなら大声でどやされるところであるが、この時には、もの和らかな調子で話しだしたので驚いてしまった。「馬鹿な少年めが!!ありゃきっとガリラヤの羊飼いか何かであろう。わしを責めおって、心の底までゆさぶりおった」

「そんな奴は番兵に掴まえさせて棒で叩きのめしたらよかったじゃありませんか、大祭司さま!」「いやいや、これはきっと神様の御指図だろう」彼は溜息をつきながら言った。「わしはなあ、この聖都エルサレムに反乱が起きないように努力をしてきたことは知っとるだろう。それを少しでも怠ってみろ、この神殿はたちまちローマ人に潰されちまっただろう」

「そうですとも大祭司様、あなたこそ立派にイスラエルのために尽しておられます。あなた様こそ真の平和論者であられます」大祭司は、ほほえみながらイエスの言った言葉を思い出して呟いた。

「そうか、だから神の子というのか。わしは平和を保とうとして罪を犯してきたのじゃ。口ーマ人がわしらの信仰を侮り、散々貶すのを秘かに助けてきたようなものじゃ。まるで草むらに隠れている毒蛇のように狡猾く立ち回っていたのじゃ」

律法学者が鋭い口調で言った。「大祭司様、あなたはずっと平和を探し求めてきたではありませんか」「そこだ!!ずっとだ、不名誉にもな!ガリラヤの一羊飼いが、わしの若い頃おぼえていた賢者の諺を思い出させてくれたのじゃ。<神ならぬ人間を主人と言ってはならない>とな。

聖なる大能の神の御名において、わしの本当の主人は、ユダヤ人やローマ人であってはならんのじゃ!おお、なんということか!明日は総督キリニウスから、わしの返事を迫られておるのじゃ。ローマ皇帝がエルサレムの神殿までも支配したいと言ってきてるのじゃ。もし羊飼いの助言に従って、それを拒否すれば、神の御意志に叶うことになり、神殿は聖なるものとして外国人に汚されずにすむという訳じゃ」

「そりゃいけません大祭司様、そんなことをなさったら、皇帝を怒らせてしまいますぞ」「神ならぬ人間を主人と呼んではならんという偉大なる教えに反するよりは、ローマ皇帝に反する方が良いではないか?」

「あなた様は、即刻、馘(くび)になり、同族の方々はすべて路頭に迷うことになりましょう。あなたさまは、大祭司の座を追われてしまうのですぞ。いやいや、それどころか、生命まで落とされることになりましょう。この件につきましては、大祭司様と総督のお2人以外の者は誰も知らないのですから、適当に処理されてはいかがでしょうか。外国人が勝手に神殿に入ってきて恥ずかしめたとしても、自分の預り知らぬことと言えばすむことではありませんか」

「へびの悪知恵め!わしが本当に神を主人として崇める者であれば、サンヒドリンを召集し、全議員の前でこの汚わしい問題をどう処理したらよいかを話すのじゃ。それから全議員の代表として総督の処に行き、次のようにぶっ放すのじゃ。<サンヒドリンの名に於いて宣言する。もしローマ帝国が、神聖なる神殿を汚すなら、我ら全員、死を以って迎える>とな」

「大祭司様、それは狂気の沙汰ですぞ」「おおそうともさ、正しい道とは、気狂いじみているものじゃ。だがなあ、その前に、もうひとつやっておくべきことがあるのじゃ。つまり、わしが総督の処へ行き、わしの考えを打ちあけてみるのじゃ。わしの出そうとしている命令を知れば、総督は真っ青になって、わしの言うことを聞くじゃろうて」

「それは名案ですね。でもそんな脅迫じみたことが本当に出来るのでしょうか」「あたりまえだ。わしが本気でやるという決意の程を示さなければ、誰がわしの言うことを信じると思うか!.」大祭司は、威厳のある手つきで、律法学者に直ちに立ち去るように合図をした。なぜなら、大祭司はもう彼の甘言に誘惑されることはないと思ったからである。

(註1)ユダヤの最高裁判所。サドカイ派、パリサイ派、長老の3派より各々代表を出し、大祭司が議長となって審議する。議員は全部で72人から構成される。(註2)ユダヤの極端な国粋主義者の団体で、ローマ帝国に反抗するために、テロ活動を展開し、口ーマを悩ませていた。

「パリッシュ」これは画家パリッシュではなく心霊治療家パリッシュの事では?(祈)†■2023年2月8日UP■
「パリッシュ」これは画家パリッシュではなく心霊治療家パリッシュの事では?(祈)†
インペレーター霊は書籍の中で「物質界の人間はすべからくインスピレーションの媒体に過ぎない」と仰っています。霊界で制作されたモノを物質界の人間にインスピレーションとして送信する、受信能力のある人間がそれを受け取り、それに自分の着色が加えられて、インスピレーションに近いモノが制作される事もあれば、大きく歪曲されたモノが作られる事もある。物質界の人間は、自分が良い考えを思いついて良いモノを作り上げたと言って自慢するが、それは元々霊界側で作成されたモノであり、人間の小我で着色されてそれがグレードダウンしたモノである事を知りません。この霊的知識に基づいて考えれば、僕がデザインし続けているフラーも霊団側であらかじめ作成されていたデザインのグレードダウン版と言えなくもないのでしょう。つまり「そもそも我々がデザインしたモノを我々が描け描け言うのは当たり前の事だ」という風になるのかも知れません…続きを読む→
「天使を喜ばせる事にはほぼ成功している」人間の霊と天使は別個の存在です(祈)†■2022年8月10日UP■
「天使を喜ばせる事にはほぼ成功している」人間の霊と天使は別個の存在です(祈)†
霊界と物質界つまり顕幽をつなぐ通信方法としてもっとも健全かつ正常な手段が「インスピレーション」であり、霊界側にとっても、物質界の人間が霊的チャンネルを開いてくれてインスピレーションを受け取れるようになってくれる事が一番手間が省けるという事なのです。霊媒現象を実現させようと思ったら、異なる次元間にあんなメンドクサイ橋、こんなメンドクサイ橋をかけねばならず、また決まって人間側の無理解、無知、不信心が障害となって霊界側の長年の準備が泡と消されてしまうという事が往々にしてあるそうです…続きを読む→
「何とでも作って頂いて結構です」絶版した霊関連書籍の復刊を許可する思念ですが…(祈)†■2022年8月3日UP■
「何とでも作って頂いて結構です」絶版した霊関連書籍の復刊を許可する思念ですが…(祈)†
霊団は僕が殺されないように防御しているようだが、それはつまり「宇宙一のバカ」大量強姦殺人魔、明仁、文仁、徳仁、悠仁を滅亡させる事に全然本気ではないという事になる。奴隷の女の子の存在を「宇宙一のバカ」大量強姦殺人魔、明仁、文仁、徳仁、悠仁と同じ「視点外し」という手段を駆使してまで忘れさせようとしている、つまり女の子たちを完全に見殺しにするつもりでいる。支配霊バーバネル氏は僕という霊媒を使うつもりでいるようだが、僕はもう全く信用しておらず「絶版した霊関連書籍の復刊」の作業に本腰を入れる事となった。復刊が霊的知識普及のベストルートだと信じる。…続きを読む→

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Posted by たきざわ彰人(霊覚者)祈†