イスカリオテのユダには、シモンという友人がいた。彼は背は低く、風采もあがらない男であった。シモンは、ユダのことを慕っていたので、何でも彼の言うとおりに従い、イスラエルの救済計画に専念していた。
この2人は何もかも正反対の性格であった。シモンは臆病なのに対して、ユダは大胆で決断力があり、一方は女性的で、他方は荒々しい烈しさがあった。ユダは肩巾が広く、背丈も高く、堂々としていたので、シモンは彼のことを“ユダヤの王子”とか、“ユダヤの獅子”とも呼んでいた。
しかし時々ユダは獅子のようではなかった。金銭のこととなると、彼の態度が変わるからである。父が殺されてから、飢餓に苦しめられていた頃のことを思い出してしまうのである。その上、彼は自分のために金を集める気はなく、いつも公共のため、特に金持ちにいじめられている貧乏人を救い出すために金を使うのであった。
例の約束の時がやってきて、4人の者がタボルの山に集まった。その顔触れは、ユダ、シモン、イエス、アサフである。シモンは渋々ついてきた。ひとつには、自分の好きなユダの心をとらえてしまったイエスをねたんでいたからである。ユダはもうイエスのことばかり考えて、シモンの入る余地はなかった。
会見の場所に近づくと、シモンの目に“イスラエルの槍”という名で知られている高い岩にもたれている男が映った。彼はあまり背が高くなく、ほっそりとしていた。ユダのような器量もなく、風采もあがらなかった。
しかしユダとの挨拶が終わり、彼のほほ笑んだ顔を見たとき、今まで味わったことのない魅力を感じた。暗く澄んだ瞳、細面の顔、こげちゃ色の髭をはやしている彼は、霊の光を放っていて少なからず圧倒されてしまった。それでシモンは挨拶しようとしても、ひとことも口をきくことができなかった。
しかし不思議なことに、今までいだいていた妬み心がすっかり消えていることを感じた。イエスはシモンに言った。「あなたのたった1人の友達に良く頼んでおきましょう。本当に頼りになる友達は、あんただっていうことをね。ユダがあなたから離れていくのではないかと恐れることはありません。どちらかが死んでしまえば別ですが」
ユダが近寄ってきたのでイエスは話を止めた。しかしシモンは、イエスが自分の心を見通していたことを知り、ユダから離れないですむと思って安心した。4人の男は約束どおり、“イスラエルの槍”という岩のもとに集まった。彼らは眼下にエスドラエロン高原を見下ろしていた。
まさに緑の海であった。彼らの周囲には、山や森があり、アサフにとって戦争や暴力とは無縁な平和の世界そのもののように感じられた。しかしユダには通じなかった。彼はとうとうとしゃべりまくった。
この次は、エリコに近い砂漠で会合を持ちたいと言った。その砂漠には、ユダヤ全土から熱心党の代表者がやってきて、盗賊の首領(兄)を交えて相談し、ローマの支配を止めさせる時期について話し合いたいと言った。イエスはユダの長い話が終わるまで静かに聞いていた。そしておもむろに言った。
「ゴール人のユダが反乱を起こした時のことを振り返ってごらんなさい。剣をとる者は剣で滅びてしまうんですよ!」「あのユダは、まだ機が熟していないのに立ち上がったから失敗したのです。部下も貧乏人ばかりで、からっきし戦い方も知らなかったのです。
それにローマ軍と戦うには、あまりにもひどい武器しかもっていなかったのですよ。それにひきかえて、我々同志は、しっかりと武装し、よく訓練されているんですからね。我々は百姓の集団ではなく、立派に戦える軍人なんですよ」
それからユダは、ぜひともエリコの近くに集まって、熱心党の話し合いに来てほしいとイエスに懇願した。イエスは返事をしないで、エスドラエロン高原の方を指さしながら、このような平和な世界に暴力をもちこむことは賢くないと言った。
ユダは口から泡をとばしながら自分の計画を話しだした。ローマを追い出して、サマリヤ、ユダヤ、ガリラヤを1つの国に統合したいという計画であった。それが実現すれば貧富の差が無くなり、まるで家族同然に1つに結ばれる。しかも能力と労働に応じて報いられ、老人や病人を大事にする社会となる、などと主張した。
ユダは言った。「先生!すべてがうまくいくのです。悲しみも苦しみも飢えもなくなり、それこそ先生が言われた平和な世界が実現するのです。けれどもローマに支配されている限り、それは絶対に実現できません。先生!物欲と奴隷制度を好む異教徒の手からイスラエルを救うために、ローマをぶちのめしてしまわなければ、王国はただの夢に終わってしまいます」
「私の目指している王国は、この世のものではありません」「我々はこの世で生活しているんですよ!しかも政府機関が我々の生活を左右しているんですよ!良き支配者が立派な人民を育て上げ、神の御心に沿った歩みが始められることが大切なんです。そのためには、どうしても力が要るのです」
ユダはなおも一方的に言い続けた。「私は人々の心をつかむことができません。私はいつも孤独です。鳥や子供さえも近づいてはくれません。しかし、あなたはみんなから愛されています。そのようなお方と一緒になれば、もうユダヤは我々のものです。きっと人々は、我々のために命がけで従ってくれるでしょう。もうローマも敵ではなくなります」
「しかし、我々は1つにはなれません」「そんなことはありません。あなたはユダヤ王国の預言者としてお立ちになり、私は法律部門を受け持つのです。2人だけが行政をつかさどり、2人が偉大な魂となるのです。我々2人の英知によって立派にこの世の王国を打ち建てるのです」
イスカリオテは延々と語り続けた。初夏のタボル山を背景に、彼の夢と野望が沸々と湧いて出てくるのであった。日没の頃になって、ようやくユダの話が終わった。イエスがユダの望んでいるエリコに行ってもよいと言ったからである。ユダは勝ち誇ったように静かになった。それから彼らはそれぞれの家路についた。
その日の夜、イエスはマリヤ・クローパスにこの一件をすべて話して聞かせた。善良なマリヤはとても心配になり、そんな危ない無謀な計画に頭をつっこまないように忠告した。
「ユダという男はね、本当に孤独なんですよ。私は彼から悪霊を追い出してあげたいんです。そうすれば鳥も子供たちも慕ってくるようになるでしょう。だからエリュに行くことにしたのです」
マリヤ・クローパスは言った。「それはできっこないわよ。憎悪と暴力をたくらむ人っていうのは、必ず裏切るものよ。どんなに崇高な目的をもっていてもね」彼女は溜め息をつきながら黙ってしまった。
「中止します」地球圏霊界は大量強姦殺人魔を容認し放置するという意味です(祈)†
僕を苦しめる事そのものが当初からの目的だったのではないか。僕に物質界の邪悪の情報拡散をさせる事によって、邪悪の滅亡時期を若干早める事はできるだろうが、僕一代で目的達成させようとは考えていない。で、霊界側としては僕の物質界生活中にできる限りの仕事をさせつつ、僕の霊格も可能な限り高めさせておいて、帰幽後も僕を仕事(物質界浄化活動)に活用し続けるつもり。そういう長いスパンで僕という霊の道具を使い倒すというのが当初からの(もっと言えばイエス様の)計画で、それで助けられないのに奴隷の女の子の事を延々と僕に教えてきて苦しみを倍加させる事で(苦難を与えるという意味)僕の霊格を高めさせたという事なのではないか)…続きを読む→
「この窓から神秘に入る」帰幽後、僕が突入する状況について霊団が言ってきましたが(祈)†
インペレーターの霊訓より抜粋 私がこの地上を去ったのは遙か遠い昔のことになりますが、このたび戻ってまいりましたのは、この霊媒を通じて霊的啓示を届けんがためです。それが私の使命なのです。私の属する界層からこの地上へ戻ってくる霊はきわめて稀です。が、大神が特殊な使命のためにこの私を遣(つか)わされたのです。天界と地上との間の階梯(はしご)はつねに掛けられております。が、人間の側の不信心が天使の働きかけを遮断してまいりました。 – あなたは神の僕(しもべ)ですか。いかにも。神の僕として選ばれ使命を仰せつかることは、われわれ仲間の間にあってはただならぬことです。私はこの霊媒を通じての使命を終えたのちは2度と個的身体をまとって戻ることのできない境涯へと赴きます。他の霊を通じて影響力を行使するのみとなるでしょう。皆さんはすべからく大神の導きを求めねばなりません。おのれを恃(たの)む者は滅びる、滅びる、滅びる…(とくに厳粛な調子で述べた)。神は光明と導きを求める者を決してお見捨てにはなりません。決して、決して、決して……続きを読む→
「神は苦しみを用意して下さいました」んー試練にも限度があると思うのですが(祈)†
解決しなければならない問題もなく、挑むべき闘争もなく、征服すべき困難もない生活には、魂の奥に秘められた神性が開発されるチャンスはありません。悲しみも苦しみも、神性の開発のためにこそあるのです。「あなたにはもう縁のない話だからそう簡単に言えるのだ」 – こうおっしゃる方があるかも知れません。しかし私は実際にそれを体験してきたのです。何百年でなく何千年という歳月を生きてきたのです。その長い旅路を振り返った時、私はただただ宇宙を支配する神の摂理の見事さに感嘆するばかりです。1つとして偶然というものが無いのです。偶発事故というものが無いのです。すべてが不変絶対の法則によって統制されているのです。霊的な意識が芽生え、真の自我に目覚めた時、何もかも一目瞭然と分るようになります。私は宇宙を創造した力に満腔の信頼を置きます。あなた方は一体何を恐れ、また何故に神の力を信じようとしないのです。宇宙を支配する全能なる神になぜ身を委(ゆだ)ねないのです。あらゆる恐怖心、あらゆる心配の念を捨て去って神の御胸に飛び込むのです。神の心を我が心とするのです…続きを読む→