【5/19】霊界通信 イエスの少年時代 貧窮の中の小さな王者 13 村八分の4年間
4年の年月が流れた。ヨセフの姉、マリヤ・クローパスが帰ってきた。彼女はナザレを離れている間、大工の弟から何の便りもなかった。そんな訳で、マリヤが昔のままであるか、それとも別人のようになってしまったか、あれこれと想像しながら帰ってきた。いざ会ってみると、2人とも幸せそうではなかった。
「あら、お前たら、長い顎髭なんかつけちゃって、どうしちゃったのよ!あれからまだ4年しか経ってないのにね」彼女は大工の妻のことには全くふれなかった。なぜなら、マリヤは以前のような痩せこけた娘ではなくなり、とてもふくよかで美しくなっていたからである。
今ではもう立派な女となり、歳月が彼女の容貌を変えてしまった。手足もふっくらとなっていた。しかし彼女の額には悲しみの痕が歴然と刻みつけられていた。まるで昔の痩せこけたマリヤの席に全く別の女が座っているようであった。3人の子供たちが土間で遊びまわっていた。
彼女の手は休む間もなく、食事の仕度をしたり、糸紡ぎの仕事に夫ヨセフと共に働いていた。彼女は布を織り上げ、堂々たる風格で立ち働いているので、マリヤ・クローパスは少なからず驚いてしまった。「あなた、本当に変わったわね。マリヤ!心まで変わってしまったの?」「何も言えないわ!」とマリヤは答えるだけであった。
しかし返答の声には悲しみの響きがこもっていた。「そう自棄になるもんじゃないわよ!これからが花を咲かせる年代じゃないか。ねえマリヤ!あなた今でも夢を見るの?」
「とんでもない!1日だってそんな日があるもんですか。うちにはね、食べなきゃならない口が5つもあるんですから。それに、夫は病気で長いこと寝ていたんですよ。だから借金だらけでね、全部返してしまうまでは、こうして休みなく働かなくちゃならないんですよ」
マリヤ・クローパスは、マリヤが本心をつけていることを知った。そして弟がどんなに辛い思いでいるかも察知した。「姉さん、マリヤの深い愛情が無ければ僕はとっくの昔に死んでいるよ!マリヤは1日中夜おそくまで働いて、僕が立ち上れるまで、一家が餓死しないようにがんばっているんだよ」
とヨセフが言った。これを聞いて姉はとても悲しかった。すばやくマリヤに目を向けてみると、確かにマリヤの顔には苛酷な労働と苦労の痕が深く刻みこまれていた。
「じゃ、夢どころではなく、イスラエルの救世主になる息子のことも構ってやるひまはないわね!」と、姉はささやいた。「お祈する間もないのよ、もう何ヵ月もの間ナザレの道を歩くのがやっとで、あの丘の上には行けないんですものね」
「だけど、この3人の男の子のうちの1人は確かに大天使から選ばれたんでしょう。あなたは大天使様の約束を忘れてしまったのかい。あなたの処にあらわれて下さったあの方の約束を!」
「いいえ!!忘れられるもんですか!でも此の頃は、こんなに不幸が重なっても大天使様は来て下さらないんです。この子たちを餓死させまいと思い、いやいやながらも、あの非道いミリアムの所にパンをわけてもらいに行ったりして…」
「それじゃ、大天使様の約束はもうだめだというの?」「私の子供たちをよく見て下さい!そうすれば、ひとりでに答えはおわかりでしょう」遂にマリヤ・クローパスは、マリヤの辛い答えの中にイエスの母親として、何かつかえるものがあるのではないかと察し、優しく話しながら、ひとことひとこと頷き、マリヤの心に潜んでいる悲しい記憶を引き出すように努力した。
遂にマリヤが心に秘めていた心配事を彼女にうちあけた。それは、まるで体につきささった槍を引きぬくときのように苦しみ、全身をふるわせながら告白するのであった。「私たちは、初めの頃の生活はそんなに苦しくなかったわ。ひもじい思いもせず何とか食べられるだけで満足していたの。
ところが、あのミリアムが、いやがらせの材料を見つけては、それは口では言えないようなひどいいじめ方をするの。ミリアムはヨセフを借りきって自分の家の大工仕事や庭仕事をやらせるんです。
ある日の夕方、とってもむし暑い一日でした。ヨセフが何もたべないで働いていることを承知の上で彼を呼び入れ、新しい葡萄酒をのませたの。彼はあまりお酒には強くないのと、おなかが空っぽだったので、頭がくらくらし、口が軽くなってしまったから大変、私のことや、大天使ガブリエルの約束によってイエスが生まれたことをベラベラと喋ってしまったのよ。
それを知った仲間たちは、鬼の首でもとったように私のことを嘲けり、汚くののしったの。それからがもっと大変、それを伝え聞いた長老たちがかんかんになって怒り、神を冒潰するも甚だしい罪悪、言語道断であるとののしって、よってたかってヨセフをミリアムの家から放り出してしまったんです。
彼はよろめきながら歩いているのを若者たちが見てヨセフをからかったので、彼はかっとなって若者たちを殴りつけてしまったの。夏も終りに近づいていたので、ミリアムの庭にあった井戸の水は枯れ、蓋もしていなかったので、酔ったヨセフはその中に足をふみはずして落ちてしまったんです。
地上に引き上げるのに随分時間がかかってしまい、引き上げてみると、もう自分では動けない程衰弱していました。背中は傷だらけで、まるで死人のようでした。それからは、このあばらや屋の中で何週間も手当てを続け、パンを買うお金もなく、子供たちは泣き叫ぶのです。
おまけにその年は、収穫が思わしくなく、葡萄やオリーブが不作でね、いつも私たちに親切にして下さった近所の人たちも飢えてしまい、自分たちが餓死しないようにするのが精一杯なのよ。そこで意を決してパンをもらうためにミリアムの家に行き、戸口の前に立ったの。
ミリアムったら、まるで毒蛇が猛毒を唇の真下に溜めこんでいるみたいに、私やイエスのことを口汚なくののしり、それをじっとこらえて聞いている私をめがけてパンを投げつけるのよ。くやしくって…。
そうこうしているうちにヨセフの体はよくなっていっても、大天使様やイエスのことで受けた心の傷は直らず、ヨセフはいつも白い目で見られるようになったの。彼の腕はたいしたもので、彼程の職人はガリラヤでも見つからないと言われていたのに、この辺の人たちはそんな彼を嫌って、職人をわざわざテベリヤから高い金を払ってまで連れてくるしまつなのよ。
最近は人々の気持ちもやわらいできたので、このまま私たちが何ひとつ喋らなければ、なんとか暮らしていけると思うわ。この冬も飢えなくてよさそうなのよ」「そうだわよ!口にはよくよく注意しなくちゃね。とくに約束されたメシヤのことは絶対喋っちゃだめよ!」
「はい、そうなんです。そんなことしたら、もう生きていけないわ。またミリアムがろくでもない事を言いふらすんだから。私は馬鹿だから、つい冒濱めいたことを話してしまうんじゃないかと思ってびくびくしているのよ」
マリヤは頭をたれて、嫉妬に狂った1人の女の恨みによって蒙ったあらゆる苦悩や心配事を顔にあらわしていた。暫くしてマリヤ・クローパスが言った。
「何が冒涜なもんですか!とんでもない。私はマリヤのことを信じるわ!大天使様が夜中にあらわれて、あなたに約束された通り、きっと実現するわよ」マリヤは泣きながら言った。
「お姉様が一緒に居て下されば私もとっても心強いんだけど、なんだか私自信がないの。私には学もないし、律法学者が来ておっしゃるのよ、私の信じていることなんか当てになるもんかって。それはきっと、悪魔の囁きにきまってる、て言うの」
ヨセフが庭から声をかけたので、姉は彼の所へ行った。そしてマリヤが若い頃体験した不思議な出来事を弟が信じなくなっていることを知った。むしろそんな忌まわしいことなんか消えてなくなってしまえばよいとすら思っていた。ヨセフは姉に言った。
「そのおかげでおれは殺されるところだった。やっぱり、ありゃ悪魔のしわざだよ!」「じゃ、あの老祭司シメオンの預言はどうなの?」
「あれゃ偽預言者だよ!みてごらんよ、おれたちの抱いた馬鹿げた夢のおかげで散々な目にあったじゃないか。おれはそんなものに関わるなんて真平だよ。この忌まわしいことを心の奥探くたたみこんでしまうか、それともこんな思い出を抹殺できなけりゃ、どんな罰でも受けるつもりだよ。
この地上から殺されたっていいよ。もう2度とこんな恥ずかしいことを誰にも言わないって約束するよ、姉さん。おれたちはひとこともそれに触れさえしなければ、きっと幸せになれると思うよ」
マリヤ・クローパスは実に賢い女であったのでマリヤを呼んで、もう1度だけやさしく諭すのであった。「どんなに苦しくても、恥じたり怖がったりしたらだめよ。昔のことは誰にも言わないように用心しなくちゃね。
でも初子について与えられた預言は大事にしておいて、心の中でしっかりしまっておくといいわ。1人になって静かになったときには、そのことを深く思いめぐらして、あなたが若いときに丘の上で神様がおさずけになった賜物が本当であったかどうかを考えてごらんなさいよ」マリヤは黙って聞いていた。
「霊体で会議に参加し続けてるんですよ」物的脳髄でその様子を全く反芻できません(祈)†
どの人間も例外なく物質界に降下するにあたり、指導霊と相談したうえで「こういう試練を体験すればこれだけ向上を果たせる」と考え、自分でその人生を選択して降下してくるのだそうで、つまり奴隷の女の子たちも「殺される人生をあえて選択して降下してきた人間たち」という事になるのですが、僕はそう言われて奴隷の女の子たちを見殺しにする気にはどうしてもなれません。これは僕の個人的意見ですが、物質界に降下するにあたり、基本的には「こういう人生を送る事になる」という概要は決まっているのでしょうが、中には例外もあるのではないかと思っているのです。僕の「霊性発現」はその例外に当たるのではないかと思っているからです…続きを読む→
「パリッシュ」これは画家パリッシュではなく心霊治療家パリッシュの事では?(祈)†
インペレーター霊は書籍の中で「物質界の人間はすべからくインスピレーションの媒体に過ぎない」と仰っています。霊界で制作されたモノを物質界の人間にインスピレーションとして送信する、受信能力のある人間がそれを受け取り、それに自分の着色が加えられて、インスピレーションに近いモノが制作される事もあれば、大きく歪曲されたモノが作られる事もある。物質界の人間は、自分が良い考えを思いついて良いモノを作り上げたと言って自慢するが、それは元々霊界側で作成されたモノであり、人間の小我で着色されてそれがグレードダウンしたモノである事を知りません。この霊的知識に基づいて考えれば、僕がデザインし続けているフラーも霊団側であらかじめ作成されていたデザインのグレードダウン版と言えなくもないのでしょう。つまり「そもそも我々がデザインしたモノを我々が描け描け言うのは当たり前の事だ」という風になるのかも知れません…続きを読む→
「高級霊が中止などしない」僕の役割は遠大な霊界計画の0.0001%という事です(祈)†
皆さまご存じのように2000年前のイエス様は律法学者どもの嫉妬を受けて磔刑にされ殺されました。僕は歴史に詳しくありませんが、イエス様以外にも信じられない人数の霊的使命遂行者が王などと自称する人間や、キリスト教の要職についている人間たちに徹底的に迫害され殺され続けてきました。※訳者、近藤千雄先生の著書の中にはそういった歴史の暗部を紹介しているモノがいくつかあります。何としてもそれらをテキスト化完了させ、多くの方にお読み頂ける状態にしなければなりません。物質界に使命遂行のために降誕した多くの高級霊の方々が、ことごとく軽蔑、嘲笑、迫害を受けて殉教の死を遂げています。しかし霊界側は「スピリチュアリズム勃興」という大計画まで発動し、霊的知識普及を大々的に進めてここまでやってきました。このインスピレーションは霊界側が気の遠くなる長い年月にわたって推進している霊的大事業を中止などする訳がないという意味であり、他でもないイエス様が僕などという画家くずれの人間に対して「怒涛の連続顕現」で猛烈に仕事をお願いしてきたのも、その大計画推進の道具のひとつとして僕を使用するためだった、という意味になるのです。…続きを読む→
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