【5/15】霊界通信 イエスの少年時代 貧窮の中の小さな王者 11 悪女のたくらみ

ナザレにも秋がやってきた。樹々はすべて紅色、金色、銀色に変わっていた。秋の微風は清澄で肌寒く、砂漠やガリラヤ湖を越えて、真白で背の高い建物の立ち並ぶローマの街々にまで吹きぬけていくのである。

全く始めの数ヶ月は、陽の光がマリヤの目をたのしませた。丘から見おろす風景はすばらしく、どこを見てもすべてが懐かしかった。彼女は故郷に帰ってきたのである。その地は彼女に神々しい夢を与え、神と共に歩いていたという生きた証拠を与えてくれた所であった。

騾馬に乗ってゆっくりと高台から降りていった。夕陽が長い影をつくっていた。最初の暗闇が流れるように通り過ぎたと思うと、星屑や月の淡い光が射しこんできて、疲れている旅人の足元を明るく照らし始めた。

喜びが胸にこみあげてくるので、ひとことも喋ることができなかった。銀色に輝くガリラヤ湖を眺め、湖上に浮かぶ漁師たちの舟影を見ながら2人はただユダヤ教の規則に従った挙式ができればよいがと考えていた。しかし明くる朝まで何も話さなかった。ヨセフはこの旅ですっかり参っていた。

2人は結婚したばかりのクローパスの妻、ヨセフの姉に助けを求めることになった。姉はマリヤのために食事の世話をし、体じゅうに受けた打撲傷をきれいに洗浄し、オリーブ油で痛みを和らげた。

翌朝、早くからミリアムがやってきて戸を叩くのでヨセフが戸を開けた。ミリアムの顔付きはひきつっており、無情そのものであった。ミリアムは2人だけで話しあおうと目で合図した。家の外の庭までくるとミリアムは馬鹿なことを次から次へと捲し立てるのであった。

「漁師の娘のマリヤはね、おやじが死んでから野山をさまよって、野蛮人のような生活をしてたのさ。お前さんだってあの娘がガリラヤの丘でうろうろ歩きまわっていたのを知ってただろうよ!ありゃ、絶対悪魔の仕業にちがいないよ。従兄弟のやってた旅館に居たときも、同じことをしてたのさ。

逐一旅館の亭主から聞いちまったんだ。お前さんがいくら努力しても彼女から悪魔は追い出せっこないよ。お前さんあの娘を嫁さんにするなんて馬鹿なことはおよしよ!あの娘は本当に評判が悪いんだよ、今のうちにあの娘を追払っちまうんだね!」

これを聞いたヨセフは、かんかんに怒り、すんでのところでミリアムをぶちのめすところであった。愛するマリヤのためを思えばこそ、このお喋り者の口封じに挑戦した。

「あの娘はね、夜明けのしじまのように純情で潔い女なんだ。彼女は神と語り合い、丘の上を独り歩きするときは、いつでも神と共に歩いていたんだ。お前のように純情な心をふみにじる下衆の女にはわかるもんか。

さあ!とっとと出ていってくれ!しらがの生えた頭がぶちのめされないうちにな!これ以上おれの嫁さんになる娘のことを口にしたら承知しないからな。とっとと消え失せろ!」

ミリアムは無言でそこを立ち去り、家に帰ってから更に悪いたくらみを計画した。ヨセフはマリヤに惚れこんでいる、しかし式を挙げる様子も見られない、これは何かマリヤに他人に話せない罪を犯しているからだ。

そうだ、マリヤの醜聞をばらまいてやるに限る、とミリアムは巧妙な企みを実行した。それでマリヤはガリラヤでは全く村八分にされてしまったのである。誰からもかまってもらえず、道を歩けばひそひそと私語かれ、じろじろ見られるのであった。彼女に聞こえよがしに卑しいことが話されても、マリヤには何のことやらさっぱり解らなかった。

マリヤは本当に幼な子のように純粋で、汚れをしらなかった。ヨセフは自分の愛する人が散々貶され、傷つけられているのをじっとこらえていた。彼の顔付きは怒りでひきつっていた。姉のところへ行き、身も心も呑み尽してしまう疫病のような悪女どもをどうしたらよいか相談した。

姉は言った。「そんなことを言われたからといって、お前の愛が萎むわけじゃないでしょう。私がマリヤに話して、どんなことを言われても対抗できるように武装してあげるわよ」姉は無垢なマリヤに、悲しみの背後に喜びがひそんでいることを話してきかせるのであった。

(註1)トーラ(モーセの律法) – イスラエルの道徳律、礼拝儀式、民法を含む細則。殊に婚約中に他の男と関係した者は即刻死刑となった。ヨセフは懐妊しているマリヤを妻として受け容れるのにどれ程悩みぬいたか、余人の想像を絶するものがあったに違いない。

「水星バカ」強姦殺人魔、明仁、文仁、徳仁、悠仁が地球学校落第という意味です(祈)†■2022年6月15日UP■
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「しかしこの応援団」心秘かに使命遂行を応援して下さっている方々の思念だと信じたいですが(祈)†■2022年7月13日UP■
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「進化が足りない」物質界の苦難の存在理由を僕は理解できていないという意味です(祈)†■2022年5月11日UP■
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Posted by たきざわ彰人(霊覚者)祈†