【5/21】霊界通信 イエスの少年時代 貧窮の中の小さな王者 15 日の出の語らい

アナログ絵352_3

暫くの間マリア・クローパスは家事に忙殺されていた。子供はまだ幼く、毎日育児や家事に追われていた。彼女はイエスのことについて、とりわけ出生前の大天使の約束や誕生直後のことなどに注意深く思いを寄せていた。彼女は長男の幼いヤコブに言いきかせた。

「あなたの従兄弟のイエスと仲良く遊びなさい。そしてイエスのことを色々きかせてちょうだいね。イエスはね、自分の年令よりもずっと賢い子だから、お前の模範として真似るといいわ。でもイエスの悪口を言ったり、いじめたりする子とは遊んじゃいけないよ」

ヤコブは同じ年頃の子供の中では、平和を好む穏やかな性格であった。彼は喧嘩も言い争いもせず、とても謙虚であった。彼は母の約束を守り、イエスの言動をすべて記録した。マリヤ・クローパスが集めたイエスの物語は、すべてヤコブの報告に基づいたものであった。

ガリラヤ湖の北側は、なだらかな丘陵になっていた。何年かたつうちに、とても美しい森が丘の斜面に生い茂り、オリブの木立や葡萄畑が丘一面に広がっていった。ナザレの北側には高原地帯があって、そこから山々を眺めることができた。

朝早くイエスはその高原に通じる険しい道をよじ登って丘の頂上へ行った。ヤコブもそっとイエスの後についていった。ヤコブは自分よりも年上の従兄弟に不愉快な思いをさせまいと思って、自分の心を開かないようにしていた。イエスは後をふりむきもせず、目前に聳える丘を見すえながら前へ進んで行った。

住宅地から遠くはなれ、誰の目からも見られない所に来るまでは休もうとはしなかった。目的地に着いたとたん、イエスの顔付きが変わった。静かに歌をうたい、花を摘み、草の上に寝そべって飛びかよう鳥たちを見守っていた。静けさが心の中にみなぎったとき、彼はそこに跪き頭を低く垂れた。

ヤコブが見守っているうちにイエスの肩が大きく上下し、彼の体全体が心の嵐に出合ったように震えだした。その状態が去ると非常に静かになり、ヤコブがそっと近づいてみると、何と彼の顔は天を仰ぎ光り輝き、まるで天使の顔のようであった。イエスは膝をついたまま上体を挙げ、両手を大きく開いて、2度か3度挨拶をかわした。

大声をあげながら聖書の言葉を口にし、その言葉が真理に基づいているかどうかを質し、更に神の御意志を明確にあらわしている御言葉があるか否かを尋ねた。その光景は、まるで律法学者を目の前にして大事な教えを授けているかのように見え、賢者どうしが話しあっているようにイエスは振る舞った。周囲にはイエスしか居ないのに、誰かと熱っぽく話したり相槌を打つのであった。

ヤコブはイエスのまわりを見回し、生い茂った森の中をのぞき、あちこちを丁寧に探しても律法学者らしき人は見当らなかった。ヤコブの目には、ただ森や足元に生えている草むらや天空の青空しか見当らなかった。ヤコブは静けさの中で呟いた。

<彼は花や鳥と話しているんだろうか?>答えは得られなかった。ヤコブにとっては、イエスが神の知恵の御言葉を空中に描いているようにしか思えなかった。話しては止め、空中に耳を傾け、イエスの目つきなどからそうとしか思えなかった。人っ子一人住んでいない寂しい場所であった。

ヤコブの悩みは大きくなっていった。彼は次第に従兄弟に恐怖をおぼえるようになった。イエスは日の出に輝く空気に向かって語りかけ、遠い遙か彼方のカルメル山から吹いてくる微風に返事をし、ガリラヤ湖を横切ってきた風のように囁いていたからである。

ヤコブはイエスが語り合っている相手のことよりも、イエスが口にしている言葉の方に注意してみることにした。ヤコブはこのことを一部始終母に話した。母はヤコブにもっと接近して、イエスが石や草や空気と本当に話し合っているのかどうか調べるように言った。

「お母さん、イエスはね、石や草と話しているんじゃないよ。たしかに誰かが居るんだよ、もしかしたら悪魔かもしれないってナザレの律法学者が言うんだ。悪魔はよく子供たちにあらわれて変なことを囁くんだってさ。僕にも気を付けろって言われたんだ。そんなときには指を両耳にさし込んで逃げろっていうんだよ。悪魔と言葉をかわしたら忽ち地獄につき落とされてしまうんだって」

「イエスは悪魔となんか話すもんですか!!何も怖がることはありません!私が言った通りにイエスに近づいてごらんなさい。思いきって、イエスが誰と話しているかをきいてみるといいんだよ」

そこである曇った朝、空一面に雲が広がり、霧が湖の上を覆っているとき、ヤコブはイエスが跪いて静かに祈っている岩から数メートル離れた所にある樹陰に隠れていた。静かなひとときが流れ、ゆっくりと光が射し込んできた。薄暗い所では東の空を見上げながら囁いている人の顔ははっきり解らなかった。突然イエスは立ち上り熱心に叫んだ。

「主よ、御話下さい!私は此処に居ります」それから暫く沈黙が続き再びイエスが叫んだ。「だから私たちは、すべて神の子なのですね!ハイ、ハイ、その通りです。…悪人でさえも迷いの中に居る者も、そして…異邦人(ユダヤ人以外の民族を異邦人と称し、神の選びにあずからない罪深い民族と考えていた―訳者註)でさえ神の子なのですね、だからこそ神はすべての人々に憐みをかけられるのですね」再び沈黙が流れた。

すると突然腹の底から絞り出すような声を出して、イエスの質問が確かな返事として返ってきたような感じがした。知恵ある御言葉に接した者が見せる喜びの色がイエスの顔全体にみなぎっていたからである。

日の出の太陽がイエスの顔を照らし、イエスは立ち上り、誰かと一緒に居るかのようにあちこちと歩き回った。このようにして1時間程経った頃、ヤコブは遂に我慢しきれず、隠れていた樹陰からとび出して、ワナワナと震えながら叫んだ。「誰と話しているんですか?」

イエスが従兄弟のヤコブだとわかると、厳しい口調で静かにするように命令した。イエスの声があまりに凄かったのでヤコブはその場で竦んでしまった。イエスは一緒に居た人と思われる方にお辞儀をしてからヤコブのもとにやってきた。「私と話していたお方を見なかったかい?」

「いいえ、誰も見ませんでした」「あの方は預言者だった方で、僕に話しているのを聞かなかったかい?」「いいえ、なんにもきこえませんでした。律法学者は悪魔だけが子供の耳元で囁くとおっしゃってます」「私と話しておられた輝くような御方が暗黒の王子ベルゼブルだと思うかい?」

「とんでもありません。あの方が悪魔だと言っているんじゃありません、ただ、あの律法学者は何でも知っている学校の御方です、先生が律法学者の言う通りに従いなさい、て言われたのです」暫くの間イエスは黙っていた。彼は草むらに生えている白い花を摘みとってヤコブに言った。

「律法学者はこの百合の花がどうして成長し、美しい花を咲かせるか知っているだろうか?彼は生命の秘密を知っているだろうか?彼は茎を伸ばし、葉をつけ、蕾をならせ、美しい花を咲かせる種の不思議な秘密をみんな知っているだろうか?」

ヤコブは答えた。「いいえ、彼はそんなことは知らないと思います。神様だけが、それをお創りになったのですから御存知です。学校の先生はそうおっしゃいました。」「そんなら律法学者は何にも知らない訳だろう?」ヤコブは困惑した表情で頭をたてに動かし、イエスに同意した。イエスは続けた。

「この一輪の花のことすら解らない方が、それ以上の難かしいことを解るはずがないじゃないか」「そうですねえ」「律法学者は何も知らないからこそ、悪魔が僕の耳元で囁いたなどと言ってるんだよ。静かな早朝に、輝ける預言者と話していることなんか解るはずがないじゃないか!!」

「はい、それはそうですね。でも、律法学者は深く学問をした御方です。あなたがどなたと話していたかを言ってくれなければ、彼にはわかってもらえません。それに、あなたは僕よりも年上の少年ですが、学問をおさめたわけではないので…」「僕はね、丘の上で独りで居るときに、天におられる父上(神様)が私に直接話して下さったんだよ」

この言葉を聞いたとたん、ヤコブは地上に倒れ、がたがた震えだした。暫くの間頭もあげず、じっとしていた。彼は日頃長老たちから、至高なる神様の御名前を大声で口にしてはならないと厳しく教えられていたからである。それは絶対に口にしてはならない神聖な御方であり、至聖中の聖なる御方であるから、賢者や祭司のみが口にできることと教わっていた。

だからヤコブは、その御方のことを口にしたイエスは即刻撃たれて、地上に倒れ死んでいるのではないかと思った。そっと頭をあげて見ると、驚いたことに、イエスは彼の目の前に立っていて、ほほえんでいるではないか。「ヤコブ!お前は何をそんなにびくびくしているんだい」

「やっぱりあなたは悪霊にとり憑かれているんだ!ただ預言者や聖なる御方が至聖なる御方のことを口にできるって、律法学者の“ベナーデル”が言ってました」

「ベナーデルだって?こんな小さな花に隠されている秘密すら解らない方が!!ねえヤコブ!そんな人の話をどうして信じているのかい、彼は年老いて白い髭を生やしているだけじゃないか。神様は僕の父上なんだ。そしていつも僕の心の中に居て下さることを知らないのかい!

だからこそ日の出の静かな頃、このあたりで父上の神様と話ができるんだよ。ヤコブ!!お願いだからこのことは誰にも言わないでおくれ。特に律法学者のベナーデルにはね」

「もちろんですとも、僕は口がさけても言うつもりはありません、とっても恐ろしいことですから」ヤコブは目を地上におとしながら悲しそうに言った。「僕は此処に来なければよかったんです。そうすればあなたの暗い秘密も知らずにすんだのですから」

「ねえ、これは決して暗い秘密でもなんでもないんだよ。僕にとって最もうれしいことなんだ。天の父上とこうして話ができるときが1番幸せなんだよ。お前もせめてその御声を聴くことができたらいいのだが。夜明けの静けさの中から、あふれるような神様の御言葉が魂の中に流れこんできて、もう何も恐れるものが無くなり、喜びでいっぱいになれるんだよ!」

ヤコブは小さな声で弱々しくささやいた。「あなたは、まるで自分が神様にでもなったように話している。しかも天の父上と自分が全くひとつであるかのように」ヤコブの顔面は蒼白になり、ただイエスにあきれるばかりで、何とも言えない恐怖におそわれた。

「そうじゃないんだよ、僕はただ神様の子供だと言ってるんだ、子は父に似るように、僕は天の父上のようになりたいと願っているんだよ。預言者エリヤがこの丘の上で僕にあらわれて下さって、どうしたら神様と話し合えるかを教わったんだ。そのおかげで、こうして神様と出逢うことができるようになり、つとめて神様の御意志を実践しようと努めているんだよ」

ヤコブはイエスの話に耳を傾けているうちに、不思議にも次第と恐怖心がうすれ、逆に畏敬の念が心の中に充満してくるのを覚えた。「あなたこそ将来偉大な“ラビ”になられる御方です」「いやいや、僕はラビなんかになるつもりはないんだよ。ただ僕は天の父上の御意志を実践したいと思っているだけなんだよ」

その後、イエスは2度と口を開かなかった。彼は野原をどんどん歩いて行った。イエスの容姿は雲のようなものに包まれ、ヤコブから遠くはなれてしまった。
再び独りになったイエスは、瞳をきらきら輝せながら、ガリラヤ湖の風景や周囲の山々の間をぬうように流れる河を眺めていた。

西の方には慈悲深いカルメル山が聳え立ち、その向こうにはギルボアの山々の峯がかすかに見えていた。その手前には、丸みを帯びた乳房のようなタボル山があった。

目を遙か東の方にやると、起伏の無い高原が果てしなく広がっていた。南の方に目をやると、サマリヤの向こう側にかくれている聖都シオン(エルサレムのこと)があって、胸をふくらませながらあれこれと想像をめぐらしていた。赤子のときに行ったきりで、何ひとつ憶えていなかった。

イエスは、父上の都エルサレムを見上げる日を待ちこがれていた。彼は近いうちに偉大なる神の都に行けることを確信していた。聖都を歩き回り、神殿の庭々をめぐりながら、神と交わることを夢見ていた。後日になってこの夢のことをヤコブに語ったのである。

(註1)旧約聖書、歴王紀下1・3には、“バアル・ゼブブ”即ちエクロンの神と記されている。ゼブブとは地獄の神の意で、全体として神を冒濱する汚神のことを指している。

(註2)紀元前9世紀頃に活躍したイスラエル初期の預言者。ヤーヴェ(神の名)に忠実なあまり当時のアハブ王に追放された。救世主の先駆者としてイスラエルの民衆から絶大な期待がかけられていた。イエスが布教をしていた頃には、洗礼者ヨハネという傑物が預言者エリヤの再生と思われていた。

「中止します」地球圏霊界は大量強姦殺人魔を容認し放置するという意味です(祈)†■2023年4月26日UP■
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僕を苦しめる事そのものが当初からの目的だったのではないか。僕に物質界の邪悪の情報拡散をさせる事によって、邪悪の滅亡時期を若干早める事はできるだろうが、僕一代で目的達成させようとは考えていない。で、霊界側としては僕の物質界生活中にできる限りの仕事をさせつつ、僕の霊格も可能な限り高めさせておいて、帰幽後も僕を仕事(物質界浄化活動)に活用し続けるつもり。そういう長いスパンで僕という霊の道具を使い倒すというのが当初からの(もっと言えばイエス様の)計画で、それで助けられないのに奴隷の女の子の事を延々と僕に教えてきて苦しみを倍加させる事で(苦難を与えるという意味)僕の霊格を高めさせたという事なのではないか)…続きを読む→
「この窓から神秘に入る」帰幽後、僕が突入する状況について霊団が言ってきましたが(祈)†■2023年4月19日UP■
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インペレーターの霊訓より抜粋 私がこの地上を去ったのは遙か遠い昔のことになりますが、このたび戻ってまいりましたのは、この霊媒を通じて霊的啓示を届けんがためです。それが私の使命なのです。私の属する界層からこの地上へ戻ってくる霊はきわめて稀です。が、大神が特殊な使命のためにこの私を遣(つか)わされたのです。天界と地上との間の階梯(はしご)はつねに掛けられております。が、人間の側の不信心が天使の働きかけを遮断してまいりました。 – あなたは神の僕(しもべ)ですか。いかにも。神の僕として選ばれ使命を仰せつかることは、われわれ仲間の間にあってはただならぬことです。私はこの霊媒を通じての使命を終えたのちは2度と個的身体をまとって戻ることのできない境涯へと赴きます。他の霊を通じて影響力を行使するのみとなるでしょう。皆さんはすべからく大神の導きを求めねばなりません。おのれを恃(たの)む者は滅びる、滅びる、滅びる…(とくに厳粛な調子で述べた)。神は光明と導きを求める者を決してお見捨てにはなりません。決して、決して、決して……続きを読む→
「2度も神に仕えて働いた」これが強姦殺人魔を滅ぼすつもりがないという意味なのです(祈)†■2023年4月12日UP■
「2度も神に仕えて働いた」これが強姦殺人魔を滅ぼすつもりがないという意味なのです(祈)†
そうそう、シルバーバーチ霊は「苦を苦と思わない段階まで霊格が向上すれば、苦難を味わわされても喜びしか湧き上がってこない」みたいな事を仰っています。さらに「ベールの彼方の生活」にも、上層界の天使たちが下層界の仕事に携わって大いに苦しい状態にさせられているのに笑顔になっているという記述があります。これは帰幽して十分に向上を果たし、俯瞰の視点で全体を眺められるポジションに立つ事ができて初めて到達できる精神状態だと思います。物質界生活中にこの精神状態に到達するのは、頭で知識としては理解する事ができても心の底から納得してそういう心境に到達するのはまず不可能と思われます。中にはそういう聖者のような方もいらっしゃるのかも知れませんが僕はデザインの人間ですのでそれはないです…続きを読む→

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Posted by たきざわ彰人(霊覚者)祈†