【5/8】霊界通信 イエスの少年時代 貧窮の中の小さな王者 6 受胎のしらせ

アナログ絵287

冬が過ぎ去った。旅館の住人とくにキレアス老夫婦は厳しい寒さに完全に参っていた。若いマリヤでさえ、憂うつな気分で過ごした厳しい冬であった。マリヤはいつもガリラヤ地方の暖かい微風を思い出していた。ガリラヤの湖を覆う柔らかな空気、湖面から立ちこめる霧、そして周囲の山々は雪の帽子をかぶっていて丘から丘へと風が音をたてながら吹いていたのを思い出すのであった。

遂に春がやってきた。まるで森の中でじっとしている臆病な鹿のようにやってきた。一日一日が這い歩きでもしているかのようにやってきた。岩場でさえ、あちこちに緑の葉でかなでられる喜びの足音がきかれるようになり、石と石の間から春の挨拶をかわしていた。小さな灌木たちは緑の帽子をかぶり、燦々と春の陽が輝いていた。

春の訪れと共に、マリヤの魂も次第に目覚め、一刻一刻と神に近づいていった。このような季節には余りお客がなく、マリヤは昔ガリラヤで習慣となっていた瞑想をするために寂かな場所を探し歩いた。それからは彼女の夢は次第に膨れあがり、全く現実のものとなっていくのを感じていた。

ある晩のこと、身体をよこにして眠りにつこうとしている時に、主の御使いがあらわれて彼女にその使命を告げられた。マリヤは恐れることも驚くこともなく、そのときの模様を後になってからヨセフの実姉マリヤに語ったことがあった。

「私は直ぐに大天使ガブリエル様がやってきたことを知りました。私は跪いて掌を合せました。私が長い間熱望していたことを叶えて下さり、大天使様が神様の祝福を運んできて下さったのですから、ちっとも怖くなんかありませんと申し上げました。そうしたら大天使様がおっしゃいました。

“神様に愛されているマリヤよ、あなたは女のうちで最も祝された御方です。なぜならば、あなたは男の子を生むために選ばれたからです。その子にイエスと名付けなさい。彼は多くの人々の救い主となるでしょう。そして先祖ヤコブの御座とダビデ王の御座にすえられるでありましょう”」

夜は更けゆき、音ひとつきかれない静寂のなかで大天使ガブリエルは、跪いているマリヤのもとから離れ、閉まっている戸を通り抜け、石だたみの上を音も無く歩き、立ち去ったのであった。彼女はもはや自分が望んだものが空しくならず、又夢で終ることもなく、現実のものになったことを強く自覚した。実に彼女は全世界の女のうちより選ばれ祝されたのである。

大天使ガブリエルが訪れた明くる日のこと、1人の若い男と女が谷こえ山こえ、曲りくねった道を通ってこの旅館にやってきた。旅館の主人は早速この2人のために食事の準備をするようにマリヤに命じた。その若い男とは大工ヨセフであった。

彼が入ってきたときはマリヤがパンを揃えているところで、彼の方から「ヤー」と声をかけ挨拶をした。後ろからついてきたヨセフの姉マリヤは、マリヤのところに駈けより、両方の頬に接吻し、両腕をまわして抱き合い、久しぶりの再会を喜びあった。

食事をすませるとヨセフは騾馬に水と草をやりに外へ出て行った。2人のマリヤは谷間の道を散歩しながらお互いに胸のうちを明かし合った。「私ね、近いうちに商人のクローパスと結婚するのよ!」ヨセフの姉が言った。「彼ったら、何年も私のことを追いまわしたのよ。もうすっかり根負けしてしまったわ」

散々話し合ってからマリヤは大天使ガブリエルのことや、あの夜馬小屋の中で御告げを受けたことを話した。ヨセフの姉は遂にマリヤがイスラエルの救い主イエスの母となる約束を知って興奮した。2人の間に突然沈黙が流れた。そしてヨセフの姉の表情が硬張った。

「そんなことって本当にあるのかしら。だってあなたは肝心なこと何ひとつ知らないじゃないの!赤子がどんなふうに生れまてくるとか、どんなふうに神の御座から統治なさるとかそんなことぐらいは知っておくべきだわ」

「私はね、どんなふうに実現するのか知らないけど、神の御子を私が生むということは、太陽が東から上ると同じくらい確実に実現すると信じているのよ」

そこに突然ヨセフがやってきた。2人のマリヤは話題を変えてこのことについて話さなかった。暫くしてヨセフの姉はとても疲れたので少し休みたいと言いだした。そこでヨセフとマリヤの2人で散歩を続けることにした。マリヤは、あちこちで美しい小花を摘みヨセフにあげた。又とても楽しそうに歌った。

ヨセフは今でもガリラヤの丘や湖のことを思い出しては悲しんでいるのかをたずねた。「とんでもないわ、私はもうなにも悲しいことなんかないわ。だって私は神様から選ばれた女なんですもの。こないだ主の使いがあらわれて教えて下さったのよ。

だから私は毎日ばら色、夜は安らかな眠りが与えられ、昼間の労働もちっとも苦にならず、なにひとつ悩まずにすごせるの。私には直接感じなくても神様はいつも私と一緒に居て下さるんじゃないかしら。だから私の心はとってもおだやかなのよ」

ヨセフはこのとき初めてマリヤが大天使ガブリエルと直接話しあったことを悟った。けれども大天使が語った御告げの内容についてはひとこともふれなかった。なぜならば今は御告げの内容にふれないほうが自分の心の秘密を知っているヨセフの姉を傷つけずにすむと思ったからである。

そうこうしているうちに陽が西の丘陵地帯に沈みかけたころ、ヨセフはマリヤに自分の望みをうちあけた。彼はマリヤをナザレに連れ返って結婚したいと願った。マリヤは彼の突然の申し出をきいて驚き、手にしていた小花を道端に落とし足でふんづけてしまった。

ヨセフはマリヤの前に跪き、手をあわせ、ぜひ自分の望みを聞いてほしいと哀願した。そしてマリヤを愛していること、そしてどんなことでもマリヤを守り抜いていくという強い意志をあらわした。

「ここでの生活は1日中辛い思いをするだけだよ、あなたの主人はとても苛酷な男だと思わないかね。あなたにはいつも荒々しい言葉をはいて、こき使っているじゃないか。1日中働きづめで、こんな寂しい所で一生辛い思いをさせられるだけだよ。

ガリラヤに帰ろうよ。あなたの好きなガリラヤ湖にさ。そうすれば僕はあらゆる悩みや苦しみからあなたを守ってあげられるんだが。僕の妻になってくれないか。

ガリラヤでは今でも近所の人たちは、あなたのことを変人扱いをして本当に頭にくるよ。でも僕の妻になれば、いくらなんでもそんなことは言わせやしないよ。僕の姉もクローパスと婚約しているから間もなく家を出ていくしね、そうしたら僕1人になるんだよ」

マリヤはその言葉を聞いているうちに突然泣き出して、それはとても出来ないことだと言った。マリヤはヨセフのもとから足ばやに駈けだして、暗くなった谷間を走り、一気に自分の寝る馬小屋に帰って、泣きじゃくりながら恐怖に身をふるわせていた。そこヘヨセフの姉がやってきてマリヤを慰めいたわるのであった。

(註1)ヘブル語で「神の強い人」という意味で、ミカエル、ラファエルと並ぶ三位の天使である。洗礼者ヨハネの誕生をその父ザカリヤに告知(ルカ伝1・11、19参照)、マリヤにはキリストの母となることを告知した。(ルカ伝1・26参照)旧約聖書のダニエル書8・16、及び9・21にも記されている。

■2021年8月25日UP■
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僕の公言内容をご覧になった方の「これは私には死んでもできない」と感心しておられる思念と思われます。そう思って頂けて感謝ですが「まるで他人事のような感想」はどうかやめて頂きたいですね。皆さまも僕も日本国民です。「宇宙一のバカ」強姦殺人魔、明仁、文仁、徳仁、悠仁の問題は僕たちが解決しなければならない、僕たちのプライド、アイデンティティに関わる緊急命題です。他の誰かがコイツらを倒してくれるのではありません。このバカヤロウどもを滅ぼすのは僕たち日本国民の仕事です。そういう責任感を持って頂きたいのです…続きを読む→
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霊関連書籍ムービー化『母と子の心霊教室 - 不思議な心の世界』第1章「人間」とはなんだろう(祈)†■2022年1月27日UP■
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Posted by たきざわ彰人(霊覚者)祈†