【4/26】霊界通信 ベールの彼方の生活 3巻 「天界の政庁」篇 4 男性原理と女性原理

1917年11月23日 金曜日

前回の話を続けたい。吾々霊団の精神的融合体と、そこから出る思念体の流れを受け取る貴殿の鉛筆と用紙との間の連絡関係は、今まさに完璧な状態に近づきつつあります。

当初、貴殿の人間性と特質の調査を終えたあと吾々は、こんどは吾々と貴殿との間を取り次ぐもの – その思念体の流れを受け取り、屈折させ、ある程度まで変質させ、言ってみればスペクトルの中の無用の要素、つまり人間の網模(もうまく)に感応しない要素に相当するものを取り除くことの出来る存在(カスリーン)を探す必要に迫られた。

これでお判りのように、最終的に貴殿に届けられるのは吾々が最初に発送したもの全部ではないのです。それは譬(たと)えてみればスペクトルの中の可視光線と呼ばれている部分、つまり赤外線と紫外線を除いた波長でできた、人間の目に映じる部分と同じである。人間の手によって綴られる通信に筋の通らないものが見られる要因も、そうした複雑な事情によります。

法則というものは全ての分野で一貫しており、どこか相通ずるものがあるもので、この問題においても同じである。例えば人間の目に映じる白色光は合成体ではなく統一体であるが、吾々の霊団についても同じことが言える。

つまり白色光が複数の色彩を統一して1色の光波つまりは無色の光の流れをこしらえるのと同じように、吾々霊団も6名の要素の寄せ集めではなく、融合統一することによって、あたかも1つの精神のように思えるほどの一体性を作り出す。

そこから出る思念がカスリーンという素晴らしい媒体を通過することで一層その度合を強める。その一体性を出すためには各自の霊力の割合をうまく調節しなければならない。さもないと効果が損われます。それはちょうど光を構成している色彩の割合が崩れてそのうちの1つでも目立つと、もはや無色ではなくなり色合いが出てしまうのと同じです。

さてここまでの説明は言ってみればプディングの材料を1つ1つ用意してきたようなものです。このままではまだオーブンには入れられない。もう1つだけ大切なものを忘れている。と言うよりは“軽く扱い過ぎて”いる。吾々がカスリーンに目をつけたのは、貴殿の血縁関係の1人との間の交友関係と2人の間の親和性とがあったからです。

– ルビーのことですか。

いかにも。他にはいないでしょう。貴殿のお嬢さんのルビーはカスリーンにとって親友であると同時に指導者でもあります。うまくしたものです。と言うのは、カスリーンについても貴殿の場合とほぼ同じような調査をしたのですが、そのうち吾々の仕事の成否を左右しかねな非常に微妙でしかも“ほほえましい”問題に逢着したのです。

吾々6人は男性である。カスリーンは女性である。地上と同じように、こちらの世界でも科学の分野は圧倒的に男性が支配しており、地上との関係においても男性の頭脳の方が働きかけ易いものです。

そこで – 勿体(もったい)ぶらず結論を急ぐが – 吾々は一方において吾々男性と通じ合うことができ、他方において女性とも通じ合える人物を見つけ出した。それがルビーで、吾々の通訳のような役をしてくれています。

彼女はこちらの世界の存在であり、同時に吾々の霊団の1人でもあり、従って実際の事実にも通じ、それもすでに長い期間に及んでいる。メンバーの1人として霊団とよく調和しており、同時に女性の特性においてカスリーンともウマが合う。

吾々の精神活動 – 思念操作 – の全体をまとめ上げ、ブレンドした上で、さらにそれをカスリーンを通して貴殿に届けてくれるのはルビーなのです。通信全体を通しての思想とその表現に男性的雰囲気が漂っているのに気づかれるであろう。それは霊団の中の班を構成している吾々6人の男性的要素が支配しているからです。

しかし、その中にあって時おり女性的要素が顔を出すのに気づかれるであろう。それは通信の内容上、女性がリードして吾々男性が哀れにも車を後押しするような形でちからを貸した方が都合がよい時です。

カスリーンも時おり顔をのぞかせることがあるでしょう。そしてそれが彼女特有のナイーブな雰囲気をもたらして可愛らしさを感じさせるであろう。吾々にとっても同じです。

– お聞きしていると今回の通信はこの先かなり長く続きそうな感じがします。嫌がってるように受け取られては困るのですが、前回(第2巻)の時が苦痛だったものですから…。

いや、いや、そう怖がられることはない。今回の通信 – そう大(たい)そうなものではないが – に当たってはずいぶん骨を折ってきたが、貴殿が止めたいと希望されるなら、いつ止めても結構です。が、私が観たところ貴殿は吾々霊団を見放すようなことはなさらないであろう。

現に貴殿は、こうして吾々に接近して通信に耳を傾けることを結構楽しんでおられる。このまま私の意図したとおりに通信が続きそうである。ただ貴殿が懸念しておられるので私から一言申し上げておくが、吾々が目論(もくろ)んでいるものはザブディエル殿の通信ほど大きなものではない。あれほど深刻な内容のものではありませんが、しかし有益であるに相違ないと思う。

– あなたは時に"私"と言い、時に"吾々”とおっしゃっています。思うにそれはあなたの通信に2つの面があるからでしょう。流れは1つでも、その流れを構成している要素は複数である。それで7人が時に複数でしゃべり時に単数でしゃべる。そうじゃないですか。

– まずい説明とも言えない。ある程度は正鵠(せいこく)を得ている。が、ある程度です。“私”と言っている時は(現在のところ)36名の霊団全体のリーダーの資格において語っており、“吾々”と言う時はこの小班の他の6名を代表して“私”が語っている。

そこで貴殿もよく考えてほしい。統一性と多様性、単数と複数とがいかに見事にしかも、この通信に見られるように、いかに簡単に使い分けが可能であるかをです。

よく承知していただきたい。こちらの世界には肉体に宿っている者がどうあがいても探り得ない深層があります。何となれば、地上というところは崇高なる“三位一体の神秘”を秘蔵した宇宙最奥の聖殿の“外郭”に過ぎないからです。

<原著者ノート>この通信のあとカスリーンが私の妻が使用しているプランセットを通じて私のことで次のようなことを言って来た。「ジョージ(私)は明日教会で1人になれるでしょうか。“リーダー”が彼にあまり会話をさせないようにと望んでおられるのです。

話をしに来る人たちがジョージに余計な神経を使わせるのを気にしておられます。明日早朝に“リーダー”が通信を送られるので私がその準備に参ります。カスリーン」

私が「そのリーダーというのはあなたの属する班のリーダーのことですか」と聞くと、「そうです。私たちはいつも“リーダー”とお呼びしています」とのことだった。これで私はこれ以後の通信の全てをリーダーからのものと判断した。

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Posted by たきざわ彰人(霊覚者)祈†